高度なセンシングを実現する“テレワイドカメラ”、ニコンと三菱ふそうが開発…CES 2025

CES 2025のセントラルホールに出展したニコン
  • CES 2025のセントラルホールに出展したニコン
  • ニコンが三菱ふそうトラック・バスとの共創により開発した車載カメラシステム「In-Vehicle Camera System」
  • ニコンの強みとして「光学技術」「映像の範囲」「画像処理」の3つを挙げた
  • カメラ内部に備えたプリズムによって、望遠レンズと広角レンズから入力された光は専用のイメージセンサーで捉えられる
  • 広角レンズにより、ドライバーの死角に転がってきたボールも正確に捉えられていた
  • トラックの横をすり抜ける自転車の状況もサイドカメラで捉えることができている
  • 遠方で捉えた対象を望遠レンズで検出
  • 望遠レンズで捉えたため、デジタルズームによって拡大しても劣化は最小限にとどめられた

ニコンは、米国ラスベガスで開催されたCES 2025に出展。社会の基盤やクリエイティビティを支える最先端の技術やパートナーとの共創の取り組みを紹介した。そんな中でモビリティ系の展示として注目したのが、三菱ふそうトラック・バスとの共創により誕生した革新的な車載カメラシステム「In-Vehicle Camera System」だ。

ニコンが三菱ふそうトラック・バスとの共創により開発した車載カメラシステム「In-Vehicle Camera System」

これは一言で言えば、望遠/広角レンズを同軸上に配置して一体化した“テレワイドカメラ”のことを指す。実は、ADAS用カメラとして望遠レンズと広角レンズを組み合わせるシステムは、これまでにも既に採用例がある。しかし、それらは2つのレンズを並べて設置していたため、どうしても視差が生まれてしまい、映像段階で補正するなどの後処理が欠かせなかった。

さらに二つのレンズを組み合わせれば、そこには複数の部品を組み合わせるためにメカニカルなトラブルも発生しやすく、またマルチカメラとして活用するにも何十個というカメラを組み合わせた場合は、それらを同期するのも一苦労という状況になっていた。

こうした点においてテレワイドカメラは、望遠レンズと広角レンズを同軸上に配置して一体化しているため、遠方と周辺の光軸が同じになるために視差が生じない。さらにAIが車両周囲の情報を画像で認識する際には、遠方で標識や他車をトラッキングしても対象を見失わず、“版ズレ”のような二重に認識するといった問題も発生しないことになる。


《会田肇》

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