メルセデスベンツは、同社のアートコレクションによる展示会「PROTOTYPE」をドイツのスタジオ・オデオンスプラッツで開始した。3月22日まで開催されている。
この展示会では、6人の国際的な現代アーティストがプロトタイプという現象とその革新の可能性に多様なアプローチで迫る作品を披露する。
自動車デザインの歴史、現代メディア、デジタル文化からインスピレーションを得たアーティストたちは、物理的な世界とデジタルの領域を融合させた作品を創作した。実験的なビデオゲームからブロックチェーンを活用した作品、人間の呼吸に基づく視覚的構成まで、幅広い表現が展示される。

展示会のテーマの「プロトタイプ」は、創造的なビジョンと商業的な標準化の間の緊張関係を探求する。それは、前衛的なアイデアが製品へと変換される前の瞬間を捉え、市場の要求や量産の実現可能性によって試される未来への信念を体現している。
メルセデスベンツのコンセプトカーの縮尺モデルも展示され、技術的ビジョンの多様性を示す。一方、アーティストたちは従来の生産方法に挑戦し、標準化に抵抗する作品を創造することで、プロトタイプの本質を体現している。
展示される作品には、ポール・サイドラーによる代替的な時間測定システムを問う「Temporal Secessionism」シリーズ、サイモン・デニーによるブロックチェーン技術を用いたハイブリッド絵画「Advanced Vehicle Transformation」、サラ・フレンドによる暗号通貨のハードウェアウォレットをメルセデス・ベンツのスマートキーに組み込んだ「Key Exchange」などがある。

また、テオ・トリアンタフィリディスの「Feral Metaverse」は、マルチプレイヤーゲームを装った実験作品で、サロメ・シャトリオの作品は機械と有機的な要素を融合させた身体的な風景を表現している。ハーム・ファン・デン・ドーペルの「Maschine」は、常に進化し続けるブロックチェーンベースのアートを提示している。
展示会期間中には、パネルディスカッションやキュレーターによるガイドツアー、ワークショップ、アートパフォーマンスなど、さまざまなイベントも予定されている。
この展示会は、アートと自動車産業の両分野におけるプロトタイプの重要性を浮き彫りにし、技術革新と創造性の融合を探求する場となる。