来たる7月25日、オンラインセミナー「内燃機関の可能性~欧州議会選挙の影響とポストCN時代の自動車の新しい競争軸~」が開催される。セミナーに登壇するのは、KPMGコンサルティング株式会社 アソシエイトパートナーの轟木光氏。
今回のセミナーは以下のテーマで進められる。
1.市場動向
2.政治動向
3.内燃機関のカーボンニュートラル最新動向
4.カーボンニュートラル時代およびポストカーボンニュートラル時代における自動車の新しい競争軸
5.質疑応答
セミナーに先立ち、見どころを轟木氏に聞いた。
■日本メーカーのエンジン開発投資が急減
KPMGコンサルティングでは毎年、自動車産業の経営者を対象に大規模なサーベイを行っている。轟木氏はこの調査結果のなかに気になる傾向があるという。
「弊社では毎年、グローバルの自動車産業の経営者を対象にサーベイを実施しています。最新のサーベイでは、内燃機関(ガソリン・ディーゼル)に対する投資について、大きな変化が出ています。日本の自動車産業の経営者は内燃機関への投資について、2022年は39%が増加させると回答していましたが、2023年では増加回答が「0%」となりました。一方で、中国の自動車産業の経営者は内燃機関への投資減少について、2022年は35%であったのに対して、2023年は29%となっています。日本と中国で内燃機関への投資に対する方向性の違いが出ていると考えています。」

■主要マーケットでBEV拡大政策が後退
このような中国の動向を裏付けるような政策が進んでいることを轟木氏は指摘する。
「中国では昨年【自動車産業のグリーン・低炭素発展のためのロードマップ1.0】が発表されました。このなかで、2060年までにカーボンニュートラルを目指す国家目標に合わせた自動車産業のグリーン・低炭素化を目指す方針があります。この方針の中で内燃機関は今後も相当な期間、重要な役割を果たすとされています。また、ハイブリッドや水素、先進的なバイオ燃料、再生可能な合成燃料の使用も推進されています。これは、中国における内燃機関の重要性を再認識させるものではないでしょうか。」

また轟木氏は北米やEUの政治動向について、急進的なBEV拡大施策が後退し、現状を反映した政策に移行しつつあると指摘する。
「米国では、共和党のドナルド・トランプ氏が「アジェンダ47」を発表しています。CAFE規制によって新車の平均価格が1,000ドル以上引き上げられ、2,000億ドル相当の損害がもたらされているとし、この規制を廃止する方針をアジェンダ47では示しています。さらに、パリ協定からの脱退やBEV普及目標の終了を提案しています。また、エネルギーコストを中国よりも安くすると宣言し、シェールガスのパイプライン強化や石油・天然ガスプロジェクトの推進、小型原子力モジュールへの投資も掲げています。」