連結トレーラー導入でドライバー不足やCO2削減に対応…トヨタが取り組む物流の効率化

25m連結フルトレーラー
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トヨタ自動車は2月5日、物流の効率化に関する取り組みについて説明を行った。「働き方改革関連法」施行を4月1日に控え「物流の2024年問題」が目前に迫っているが、同社は以前から物流ドライバーの人手不足やCO2削減に対応するため、「引き取り物流」や25m連結フルトレーラーの導入などを行っている。その内容と現況について紹介した。

◆「引き取り物流」で仕入先の負担を軽減

トヨタは2019年から、国が推進する「ホワイト物流」*へ参加しているが、それに先行して2016年より実施しているのが「引き取り物流」だ。

* トラック運転者不足が深刻になっていることに対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に役立つことを目的として、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化、女性や60代の運転者等も働きやすいより「ホワイト」な労働環境の実現に取り組む運動(出典:https://white-logistics-movement.jp/)

これまで仕入先各社が運送会社を手配しトヨタの工場に自動車生産部品を運搬していたが、仕入先単独の荷量ではトラックの積載率向上に限界があり、長距離の走行も課題となっていた。また、複数の中継地を介することにより長いリードタイムや追加作業が発生していた。

そのため、トヨタが一括して輸送を手配する「引き取り物流」への変更を実施。複数の部品メーカーを1台のトラックが集配して回る「ミルクラン」方式を導入することでより効率的な物流を実現している。24年1月時点では東北・東海・九州地域内において、対象の約4割の引き取り化を完了。

また、現場での取り組みとして、仕入先における荷積み・荷降ろし作業の簡素化(手作業からフォークリフトでの積み込みへ)や安全な出荷場の整備(製品準備作業のフローを改善しスペースを捻出。人とフォークリフトが交差しないように安全確保)などを行っている。また、複数社の荷物を1台のトラックに効率的に積み込むことで、高積載化もはかっている。

◆積載量2倍で人数減、25m連結フルトレーラー

合わせてトヨタが進めているのは、25m連結フルトレーラーの導入だ。2019年8月に北上江釣子IC(岩手県)から大宰府IC(福岡県)までの区間で規制が緩和されたことにより、25m連結フルトレーラーが通行可能になった。2022年4月時点では205台が運行。同年9月には、物流小委員会にて走行経路拡充決定し、通行可能エリアが広がった。

25m連結フルトレーラーは一般的な10トン大型トラックと比較し、積載量で約2倍を実現。ドライバー数を約50%、CO2排出量も約40%削減することができる(国交省実証実験結果による)。10.04mの前方部と11.15mの後方部がドリーと呼ばれる機材で連結されており、前後切り離しての単独運用も可能だ(切り離した後方部にヘッドを装着)。そうすることによって、スペースの問題で連結状態では入ることができない場所でも運用できる。


《吉田 瑶子》

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