自動車の購入は、現金一括、ローン、リースのような従来の買い方から、残価設定型クレジット、サブスクリプションと利用スタイルや用途に合わせた購入方法が広がっている。「エンキロ」は残価設定型のリースだが、月額が走行距離によって変動するという新しい課金スタイルになっている。
このエンキロは、どういった人や用途に向いているのだろうか。本記事では、対象となるユーザーをイメージしながら、その利用シーンをシミュレーションしてみたい。
◆定額プランは距離を乗らない人には無駄な部分がある

走行距離に応じた課金はズバリ、サンデードライバーや一般的なマイカー利用こそメリットが得られやすい。一般的なサブスクリプションや残価設定ローンの月額料金は、さまざまな使い方、走行距離をカバーするため、マージンをとった設定となっている。ローン会社やリース会社が定める料金プランの想定距離より短い距離しか走らない人(用途)では、実走行距離で課金されたほうが無駄がないからだ。
一般的な残価設定プランの月額は、月の走行距離を1000~1500kmと想定して決められているケースが多い。年間に換算すると1万8000kmだ。通勤に毎日(週5日)、往復で75km程度走行するという使い方になる。つまり、クルマを通勤に使っていたとしても、往復50kmくらいなら一般的な残価設定プランでは払いすぎている可能性がある。
全国のドライバーの30%、都市部では45%程度が週に1~3日程度の利用、いわゆるサンデードライバーと言われている。乗用車の1か月平均走行距離は370kmという統計もある。したがって、従来の残価設定型やサブスクリプションは、ヘビーユーザー以外はあまりお得ではないともいえる。
エンキロは、残価設定の査定ももっと正確に行えば、実走行距離で月額を変動させるプラン、従量課金を導入ができないかと考えた。

◆エンキロは基本料金+走行距離課金の併用プラン
エンキロのサービスは、3年・5年・7年のリース契約が基本となる。車種やリース契約ごとに契約終了時の残価設定を行う。通常のリースや残価設定プランでは、想定残価と車両価格(想定維持費込み)の差額で月額を決めることになる。エンキロは、ビッグデータを利用した独自の残価設定モデルを考案(特許申請中)し、走行距離を切り分けて考えることに成功した。
そのため月額料金は固定部分と走行距離に応じた従量課金部分に分けられる。毎月の支払金額は変動することになるが、その分、無駄がなくなっていると考えればいい。また、走行距離はある程度利用者が制御できるので、月によって支払い額を調整することも可能だ。
残価設定型のリースということもあり、契約できる車両は人気車種・グレードがメインになるが、車種はおよそ42種(予定)で、主要国産メーカー7社をカバーしているという。特定メーカーの車種に限定されないのもうれしい。任意保険は別となるが、メンテナンス込みなので他のサブスクリプションや残価設定プランと同じような感覚での運用が可能だ。

たとえば、「トヨタ ハリアーG」を5年リースとした場合(ボーナス払いなし)、スタンダードプランで月額基本料金が4万0130円。距離課金部分が25円/kmとなっている。月に500km走行した場合、合計は5万2630円。同じクラスのサブスクリプションや残価設定リースのプランでは月額(固定)で5万円後半から8万円弱といったところなので、月の負担を1万円前後減らすことができそうだ。
エコノミープランでは、基本料金が3万6920円。距離課金が33円/km。月300km走行した場合の月額料金は4万6820円となる。エコノミープランは、従量課金の単価が少し上がるが、近所の買い物や家族の送迎メインのセカンドカーのような用途ではかなり安くできる。
◆首都圏在住子育て世代でシミュレーション
首都圏在住。30~40代夫婦。子供が一人。都心に勤務。電車通勤。といった場合でシミュレーションしてみよう。
郊外に住宅を買った。最寄り駅までバスはあるが、バス停までの微妙な距離と朝のあわただしさで、駅までは毎日奥さんに送ってもらっているとする。買い物は週に2回ほど車で出かける。駅や買い物の往復は4kmとする。ドライブは月に1回、日帰りで近場の観光地やショッピングモールに出かけたりする。移動距離は往復でおよそ100km。たとえば東京都内から千葉県木更津のアウトレットまで(アクアライン経由)をイメージするといいだろう。
駅までの送迎は20日×4km=80km。買い物は月に8回~10回と考えると32~40km。これに月一のレジャー100kmを足しても220kmだ。前述ハリアーGの5年リースのスタンダードプランとした場合、4万5630円だ。従量課金部分はおよそ5000円程度。週末旅行を1泊2日で往復200kmとなっても4万5130円と5万円以下に抑えることができる。
独身で家族がいない人でも、メリットが得られる可能性はある。趣味で車を所有して、毎週末はドライブにでかけるといった使い方で、月に4回100km前後の移動をしたとすると月間400kmということになり、上記スタンダードプランの400km走行で計算すると5万0130円と5万円を少し超えるくらいだ。

◆所有スタイルを変えれば広がる可能性と利便性
以上のようにエンキロは、思った以上にコストメリットがでる層が広い。ぜひ一度自分の毎月の走行距離を計算してみるといいだろう。毎月の走行距離が300~500km前後なら他のサブスクリプションサービスや残価設定ローンよりお得になる可能性が高い。
最新のモデルを乗り継いでいきたいという人は、3年リースのプランを利用するという手もある。従量課金のコストメリットは出しにくいかもしれないが、下取りが安定して見込める人気車種ならば、リース切り替えの3年ごとに、新しいモデルへの乗り換えることが可能だ。
最初から下取り価格と乗り換えを前提に車を購入する人は少ないかもしれないが、サブスクリプションやエンキロのような新しいプランは、これまであまり現実的でなかった購入方法や利用スタイルを生む可能性がある。
安全装備や環境対策、電動化によって車の値段はさらに上がることが予想される。半面、給料アップや景気回復が実感できるような状態ではない。車を所有するためのオーバーヘッド(コスト)やリスクはますます増えていくだろう。いまやディーラーに行っても、現金一括支払いよりもローンやクレジット契約を勧められる時代だ。販売方法やローン、リースのプランも多様化しているし、保有するクルマのすべてを同じ条件で買う必要もない。メインとなる一台は現金やローンで購入して、セカンドカーをエンキロで利用する、そんなスタイルもスマートな選択肢となるだろう。
エンキロのようなサービスをうまく利用して、仕事や自分の生活スタイルに合わせたマイカーライフを楽しみたい。
『エンキロ』公式ウェブサイトはこちら