トラック運転手不足が懸念される「物流の2024年問題」やコスト上昇に対応するためには、競合する物流業界大手のライバル同士でも、お互いに手を組んで危機を乗り越えるしかないようだ。
物流分野で人手不足が深刻化するいわゆる「2024年問題」を見据え、業界大手2社が「協業」で合意したのは、日本郵政グループとヤマトホールディングス(HD)。両社が本格的に協業するのは初めてのことで、ヤマトHD傘下のヤマト運輸が手がけるメール便や小型荷物を、日本郵便のサービスに統合し、郵便側が配達を担うという。
きょうの産経が1面トップで「物流2024年問題、日本郵政とヤマト協業、小荷物委託で効率化」とのタイトルで報じているほか、各紙も経済面などで大きく取り上げている。
◆クロネコDMやネコポスを終了へ
それによると、ヤマト運輸は24年1月末、商品カタログやチラシを送るメール便「クロネコDM便」を終了し、日本郵便の配送網を活用した新サービス「クロネコゆうメール(仮称)」に切り替える。自宅のポストで受け取ることができる小型荷物「ネコポス」も今年10月以降に順次終了し、「クロネコゆうパケット(仮称)」として取り扱いを始めるという。
また、両社は今後、冷凍冷蔵トラックや郵便ポストの共同利用、ヤマトの「宅急便」の郵便局での受け取りなど、協業分野の拡大を検討する方針とも伝えられている。
◆スタートラインに立てた
記者会見した日本郵政の増田寛也社長は「(協業で)物流業界が抱える2024年問題や環境問題などの社会課題の解決を目指す」と述べた一方で、ヤマトHDの長尾裕社長は「持続可能な物流サービスの提供に向けスタートラインに立てた」と話したという。
「2024年問題」という共通の敵があらわれたことで、いがみ合っていた過去を清算して、「昨日の敵は今日の友」のようにライバル同士が「協業」で生き残りを模索する典型的な例として、今後も注視したい。
2023年6月20日付
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