山形県の吉村美栄子知事は4月25日、米坂線今泉~坂町間の復旧についてコメントを公表した。
同区間は2022年8月の豪雨以来、不通となっているが、JR東日本新潟支社は4月25日に復旧までに5年、工事費用に約86億円が見込まれると発表。単独での復旧に難色を示している。
吉村知事のコメントはこれを受けたもので、「沿線地域にとって、通学・通勤などの地域の生活を支える不可欠な交通機関であるとともに、山形県と新潟県の広域的な観光・交流ネットワークを形成する重要な路線であり、一日も早い復旧が求められます」と述べた上で、今後はJR東日本からの説明を受けて、関係自治体と連携して復旧へ向けて取り組む姿勢を示しており、新潟県の花角英世知事もJRによる復旧を要望している。
米坂線は、山形県と新潟県をショートカットする路線として1936年8月に米沢~坂町間が全通。かつては仙台、山形と新潟を結ぶ急行が運行されたこともあった。
しかし、JR東日本が公表している2021年度の線区別収支によると、輸送密度は今泉~小国間が226人/日、小国~坂町間が124人/日と、JR東日本発足時の20~30%程度に留まっており、利用者の減少が続いている。
並行道路としては国道113号線があるが、米坂線同様に狭隘な山岳地域を走るだけに自然災害が多く、国土交通省ではそのバイパスとして、新潟山形南部連絡道路の一部となる小国(おぐに)~飯豊(いいで)間の概略ルート・構造の検討に着手するとしており、米坂線にまつわる今後の議論や検討において、並行道路の整備の行方も気になるところだ。

一方、現在運行されている米沢~今泉間については、山形県長井市の内谷重治市長は2022年11月に長井市が株主となっている山形鉄道がJR東日本の受託を受けて運行を目指すことを明らかにしている。
