「NEO SERIES 2023 SPRING DAMD CUP(以下、ダムドカップ)」は、ドライビングシミュレーションゲーム「アセットコルサ」とVRドライブシミュレーター「DIRVE-X」によるe-Motorsports(eモータースポーツ)イベントだ。3月31日にその開幕戦がTUNNEL東京で開催された。
このダムドカップは、Web3時代のeモータースポーツのひとつとしてNEO NFT PROJECTが進める企画。ダムドはこのプロジェクトに賛同しメインスポンサーとなり「DAMD e-Motorsports project」を立ち上げたのだ。
実車をバーチャル空間でリアルに再現、誰もが挑戦できる参加型モータースポーツ

レース用のマシンとして使用するのは、ダムドのデモカーを3Dスキャンによってデータ化した車両。スバル『WRX STI』をベースに、スーパー耐久でも使用されるボディキットで武装された『DAMD WRX STI ELECTRICO』だ。といってもバーチャルな世界でのレースなので、アセットコルサの車両として外観からセッティングに至るまで忠実に再現された車両でレースを行う。
競技ライセンスはNFTの形で提供されるが、これはすでに完売とのこと。シリーズは4回を予定しており、今回の開幕戦の後、残り3戦が予定されているそうだ。
今回の戦いの舞台は筑波サーキットが選ばれた。会場のTUNNEL東京には3台のDRIVE-Xが用意され、単独走行のタイムアタックで予選が行われる。予選はNFT競技ライセンスを持っていれば、誰でも参加できる。事前の届け出や参加申し込みなども特に必要なく、予選の時間内にスタッフに申告して6周のベストラップが予選リザルトとなる。最終的に、予選タイム上位9人が決勝トーナメント(準決勝)に進む。

決勝トーナメントは3台ずつレース形式で順位を競う。9人で争われるため3組にわけた準決勝、そして3組の1位がそろったところで決勝レースを行う。決勝レースの前に、スーパラップ形式(1周)でグリッドを決めるタイムアタックでスターティンググリッドを決める。
単なる“ゲーム”という視点はもったいない、eモータースポーツの可能性
たかがゲームでしょ?思うかもしれないが、これが取材してみるとことのほか盛り上がる。ところどこにカウチがセットされ、それぞれのスタイルで気軽にレースを楽しむことができる。参加・観戦の間口が広いのは仲間が集まりやすい。また一般的には屋外のサーキットで開催されるリアルモータースポーツに対して、基本は屋内での開催となるのも嬉しい。フリードリンクと軽食のサービスによって、立食パーティーのような形式で楽しむこともできる。

そしてシミュレーター上の競技車両は100%イコールコンディションであること。リアルのレースとなるとレギュレーションに基づいたセッティングやベース車両に大きく依存する。たとえワンメイクレースであったとしても、厳密にはイコールコンディションではない。
しかしダムドカップは100%ドライバーの腕での勝負となる面白さがある。レースに出場するにはNFTのライセンスを入手する必要があるが、運転免許などライセンスの有無は関係なく、世代や性別を問わず誰でも参加できる。

実際に参加者に話を聞くと、ソフトウェアエンジニアから自動車業界、サラリーマンと多彩だ。免許なし、サーキット走行経験なしといった人も実車のレースをしている人と互角、それ以上のタイムでレースを楽しんでいた。
もうひとつバーチャルならではの要素は、ぶつかっても車が壊れない/ドライバーもケガをしないという点だ。3台ずつのレースとなる準決勝、決勝レースでは、インの奪い合いやブレーキング勝負といったポイントでは車両の接触やそれによるスピンも起きる。それでもレースは続行され、ぶつけられてコースからはじかれた側もすぐにレースに復帰することができる。実際決勝では、コーナーで後続に押しのけられたトップが再び抜き返すというドラマが見られた。
現実のレースではインからつっこまれてスピンさせられたりコースアウトなどしたら、車が壊れたりケガをするリスクも0ではない。これらの要素を一切無視できるのはeモータースポーツ最大のメリットだろう。

そして観客や応援メンバーも楽しめるイベントも用意されていた。予選タイムアタック終了後、観客参加型のエキジビジョンマッチが行われた。NFTライセンスの有無は関係なく、希望者と主催者が選んだ人でチームをつくりレースを行う。実車のドライビングやゲームスキルがバラバラなので、ピットロードで壁にぶつかるなど、実際のレースではお目にかかれないようなバトルやレースで盛り上がりを見せていた。

決勝レースの結果は、1位:Melikenさん、2位:ガッチさん、3位:Monoさん。Melikenさんは実車で筑波のレースに86で参加もしているという。決勝レースでは序盤に順位を下げるも、最後には抜き返しての優勝を果たした。
2位のガッチさんは、ポルシェスタジオ銀座で開催されたNEOシリーズのプレイベントの優勝者だが、ダムドカップ開幕戦では2位となった。Monoさんはゲームでしかレーシングカーを走らせたことがないが、予選で1分6秒前半の断トツタイムをたたき出した。普段はゲームパッドで操作しているそうだが、シミュレーター(DRIVE-X)でも絶妙なコントロールを見せた。3番手スタートながら一時はトップに躍り出る激走を見せたが、3位でのゴールとなった。

シミュレーター、NFT、Web3を取り入れた「NEO SERIES 2023 SPRING DAMD CUP」は、車好き、ゲーム好きだけでなく、新しい形式のレースイベントとして注目だ。