フルオーダーで理想のレーシングスーツを!…体験レポート後編:デザイン決定からレース完走まで

フルオーダーで理想のレーシングスーツを!…体験レポート後編:デザイン決定からレース完走まで
  • フルオーダーで理想のレーシングスーツを!…体験レポート後編:デザイン決定からレース完走まで
  • デザインパターンに色を付けていく作業。PCのペイントなどのソフトを使って簡単にシミュレーションできる。
  • デザインの打ち合わせの際に持っていたパターンに色つけしたものや各ロゴデータなど。
  • 細部の調整はヨネゾーの社長が色々とアドバイスしてくれるので相談してみると良いだろう。
  • レーシングスーツの完成翌日には早速サーキットで慣らし走行を実施した。
  • Responseのロゴをワンペンにして胸に縫い付けてもらった。
  • ロゴデータやステッカーなどの元になるものがあればワッペンを製作して取り付けもらえる。
  • 腕や背中、腰や足など、好みの場所にチーム名や名前などを入れることも可能。革の色もセレクト自在だ。

フルオーダーのレーシングスーツをオーダーから完成までのプロセスを紹介しているこの企画。前編では採寸から仮縫いまでをお伝えしたが、ここからはデザインやカラー決めについて紹介して行くこととしよう。自分だけの一着を作るのはかなり楽しい作業だ。

今回フルオーダーでレーシングスーツを作ってもらったのは埼玉県にあるアチーブのヨネゾー(YONEZO)ブランド。古くからフルオーダーでレーシングスーツを作る同社は、経験値も高くフィット感の高いレーシングスーツを作ることに長けている。関東圏のサーキットでの使用頻度の高さもそんな評価を裏付けている。

フルオーダーする過程で前編では身体の綿密な採寸や仮縫いによるフィッティングの最終調整などを紹介した。フルオーダーならではの細かな作業で身体へのフィット感を高める作業がわかっただろう。後編の今回はフルオーダーでレーシングスーツを作るもうひとつの醍醐味である“自分だけのオリジナル・デザイン”に着目した。

デザインパターンに色を付けていく作業。PCのペイントなどのソフトを使って簡単にシミュレーションできる。デザインパターンに色を付けていく作業。PCのペイントなどのソフトを使って簡単にシミュレーションできる。

既製品のレーシングスーツはパターンや色などは決められた中から選ぶことになるのだが、フルオーダーならセレクトは自由自在。自分の好きなカラーやデザインを込めた渾身の一着を作ることができるのが魅力だ。しかしほとんどのユーザーがレーシングスーツをオーダーするのは初めてとあって、「自分にデザインができるのだろうか?」と二の足を踏んでしまう場合も多いだろう。そんな時のためにヨネゾーではデザインのパターン(ライン形状だけがあらかじめ決められている基本デザイン)を複数用意している。

デザインの打ち合わせの際に持っていたパターンに色つけしたものや各ロゴデータなど。デザインの打ち合わせの際に持っていたパターンに色つけしたものや各ロゴデータなど。

筆者も最初の打ち合わせの際にいくつかのパターンをもらって、カラーリングの検討を始めた。パターンは画像データで用意されるので、Windowsの標準ソフトである「ペイント」などを使えば各部に色つけしてイメージを決めていけるのがお手軽。PCの前であーでも無いこーでも無いと悩むのまた楽しいだろう。またパターンは複数あるので、同様のカラーバランスでもイメージがかなり違ってくるので、色々試してみると良いだろう。

細部の調整はヨネゾーの社長が色々とアドバイスしてくれるので相談してみると良いだろう。細部の調整はヨネゾーの社長が色々とアドバイスしてくれるので相談してみると良いだろう。

さらに迷ったときには有名ライダーのレーシングスーツのカラーバランスを参考にするのも良い。また同社のスタッフは数多くのレーシングスーツを作ってきた経験があるため、カラーバランスなどの引き出しも豊富だ。迷っている部分があれば相談してみれば答えが見つかるはず。自分が欲しいデザインが自分で決められるのがフルオーダーの大きなメリットのひとつなのだから存分に楽しもう。

さらに、革の色合いは実物を見ないとなかなかニュアンスが伝わらないものだ。その点も同社では実際の革を見ながら、色を決めていけるのも良いところ。PCの画面で見ている色合いと、革の色とではイメージが異なるので見て決めたいポイントと言えるだろう。

Responseのロゴをワンペンにして胸に縫い付けてもらった。Responseのロゴをワンペンにして胸に縫い付けてもらった。

次にレーシングスーツで重要になるのがワッペンやロゴなど。プロのレーサーが着るレーシングスーツには色とりどりのスポンサーロゴが取り付けられていて、それだけでもデザイン面でカッコいいと思うユーザーも多いだろう。もちろんシンプルにロゴなど入れないレザースーツもスタイリッシュだが、筆者は胸にいくつかのロゴやワッペンを入れることにした。

ロゴデータやステッカーなどの元になるものがあればワッペンを製作して取り付けもらえる。ロゴデータやステッカーなどの元になるものがあればワッペンを製作して取り付けもらえる。

胸の中央部に取り付けることにしたのはサンデーレースに出る際にマシンのメンテナンスやレース当日のお手伝い(ピットクルー)などをお願いしているショップのロゴ。ヨネゾーのスタッフとデザインの打ち合わせをしている時に「ロゴデータやステッカーなどあれば入れる事ができますよ」と言われていたので、ショップに話して店名である「Blue Deer Racing」のロゴをもらって使うことにした。ロゴも好みの色で仕上げることができるので、レーシングスーツのカラーと合わせてカラーコンビを検討すると良いだろう。ちなみに筆者はロゴ部分を黒ベース/白文字で指定した。

さらにもうひとつの装飾になるのがワッペン。メーカー名やロゴ、トレードマークなどを入れるとレーシングスーツは断然華やかになる。よく見かけるのは使用しているタイヤやヘルメット、チェーン、オイルなどのメーカー名をワッペンにして入れるパターンだろう。筆者は執筆媒体のひとつである『Response』(レスポンス)のロゴをワッペンにして入れることにした。こちらもResponseのロゴデータを編集部にお願いして入手。これを胸に縫い付けてもらうことにした。

YONEZOのロゴも太もものサイド部分に入れてもらった。シルバーの台/ブルーの文字の組み合わせにした。YONEZOのロゴも太もものサイド部分に入れてもらった。シルバーの台/ブルーの文字の組み合わせにした。

最初の打ち合わせに行った際に身体の採寸をしたタイミングでデザインのプランをはじめ、次に仮縫いを着て最終調整をする2度目の打ち合わせの際にデザインの最終的な相談を行うという段取り。筆者はヨネゾーの基本パターンに黒ベースでブルーのライン、レッドの差し色、さらにシルバーorホワイトのラインを加えたカラーリングを考えて、ある程度完成させた案をプリントアウトして持ち込んだ。さらに上記の各ロゴデータも持って行って打ち合わせを実施。また自分の名前を入れたりYONEZOのロゴを入れるなど、どこにどんな色でどのくらいのサイズで入れるかなども細かく決めて行く。

ひとつひとつその場でデザインシートを見ながら決めて行くことに加え、百戦錬磨の社長のアドバイスもあり見事にデザインは思った以上のまとまりとなった。ちなみに黒とブルーの間に入るラインを白かシルバーかで考えていたが、ヨネゾーの社長のアドバイスでシルバーに決定した経緯もあった。

ここまでの工程が済むとあとは完成待ち。最初の打ち合わせから完成までは時期や混み方で前後するものの「5カ月程度は見ておいて欲しい」と言う。レースやツーリングの計画から逆算して余裕を持ってレーシングスーツ製作の計画を立てると良いだろう。

レーシングスーツの完成翌日には早速サーキットで慣らし走行を実施した。レーシングスーツの完成翌日には早速サーキットで慣らし走行を実施した。

そして、ついにヨネゾーから「レーシングスーツできましたよ」と連絡が来た。すぐさまお店に出かけて完成したレーシングスーツとご対面。まずデザイン面は思った以上の仕上がりに満足。立体的になるとPCの平面データとは異なりより存在感のあるデザインで映えるカラーリングになったのが気に入った。

首回り、ヒザ部分に差し色として赤を加えた。カラーリングはとにかく自由自在なので楽しんでみよう。首回り、ヒザ部分に差し色として赤を加えた。カラーリングはとにかく自由自在なので楽しんでみよう。

さらにその場で試着してみると、これまで着ていた既製品のレーシングスーツよりも着る際にキツい……。なんとか身体をレーシングスーツの中に滑り込ませて、すべてのファスナーを締めると今度は逆に各部のフィット感が素晴らしく高いことに気づいた。腕、胸、腹回り、さらには太もも、ふくらはぎ、ヒザ位置などもピタッと決まっている。さらに椅子に座ってバイクに乗った状態の前傾姿勢を取るとなおさら動きやすく全身の各部がだぶつくことなくフィットしているのがわかる。これこそ採寸してオーダーメイドするフルオーダーの良さをリアルに感じた瞬間だった。

ヒザと肘にはスライダーが取り付けられる。スライダーの台座になるレザーの色まで好みのカラーが選べる。ヒザと肘にはスライダーが取り付けられる。スライダーの台座になるレザーの色まで好みのカラーが選べる。

これにて5カ月間のフルオーダーレーシングスーツの製作は完結。しかし最後にちょっとしたハードルが待ち受けていた。実はレーシングスーツができ上がってきたのがレースの前々日(レーススケジュールが急遽前倒しになる変更があったため)。本番までに着て走行できるのは前日の走行枠×1枠のみ。新品のレーシングスーツでレースを走るのは大丈夫なのだろうか? そんな不安がよぎった。

しかし、レース前日の練習走行でレーシングスーツの慣らしと思って走り出したのにもかかわらず、まったく新品を意識すること無くライディングできる。バイクの操作で身体を前後・左右に体重移動する際にもストレスは皆無なのだ。ヨネゾーの社長曰く「ヒザやヒジのプロテクターが最初は硬いです」という説明を受けたものの、それすら感じないほどのスムーズさ。身体にピッタリフィットするレーシングスーツがこれほど快適なのをあらためて確認した。レース本番でも新品のスーツを感じさせないライディングができ無事完走。今後さらに身体に馴染んでいったときには「フルオーダーのレザースーツにすると○秒アップする」を実践すべく、どんどん着てさらにフィット感を高めていきたいと思ったのだった。

新品とは思えない動き易さがフルオーダーを感じさせた。さらに馴染んできたときの着心地を期待させる。新品とは思えない動き易さがフルオーダーを感じさせた。さらに馴染んできたときの着心地を期待させる。
《土田康弘》

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