ペット同伴専用車両で行くバス旅行「わんわんトラベル」…インターペット2023

ベース車両は日野の大型バス『セレガ』
  • ベース車両は日野の大型バス『セレガ』
  • 広い足元スペースには小型犬用の台も設置可能
  • ロールスクリーンのパーティションで隣の犬の視線も気にならない
  • 通路を途中で仕切ってスペースを前方と後方で分けることもできる
  • 通路を挟んで座席は互い違いに設置されている
  • 肉球と犬のイラストが可愛い
  • ベース車両は日野の大型バス『セレガ』
  • 大型バスに座席数は28と贅沢な室内スペース使い

3月30日に開幕した国内最大級のペット関連イベント「インターペット2023」では、愛犬と一緒に外出を楽しむための展示も見られた。

ドッグフードやペットグッズなどを扱うブースが多い中、ひときわ目立っていたのが大型の観光バス。多様化(ダイバーシティ)の重要性が叫ばれる時代に登場した、愛犬同伴専用の観光バスだ。

◆“犬目線”で企画された車内

貸し切りバス事業を営むB・I・Gは、今回のインターペットに初参加。「わんわんトラベル事業部」が、8コマの大きな展示スペースに日野の『セレガ』をベースにした観光バスを展示した。

大型バスに座席数は28と贅沢な室内スペース使い大型バスに座席数は28と贅沢な室内スペース使い

愛犬同伴の旅行専用に仕立てられた同車の室内は、最大乗客数を28名と通常の約半数に絞っている。足元は大型のペットカートも余裕で置けるスペースが確保されており、大型犬でも飼い主と一緒にくつろげる広さがある。

広い足元スペースには小型犬用の台も設置可能広い足元スペースには小型犬用の台も設置可能

座席と通路の間にはロールスクリーン状のパーティションが装備。さらに、座席は通路を挟んで互い違いに配置されている。他の犬や見知らぬ人間が苦手な犬も少なくないが、これならば安心して過ごせそうだ。

ロールスクリーンのパーティションで隣の犬の視線も気にならないロールスクリーンのパーティションで隣の犬の視線も気にならない

そのほか、床には滑りにくい素材を使用したり、水や汚れに強いシート表皮を使うなど愛犬家に嬉しい配慮がなされている。さらに、座席は犬が落ち着きやすいと言われるオレンジ色で統一されており、細かいところまで“犬目線”で企画されたことが分かる。

◆大型バスが提供する新鮮な旅行体験

テスト運行なども含め、これまでに10数回のツアーを行ったそうだが、参加者の評判は上々らしい。意外だったのは、顧客層だと言う。

「始める前は、運転が苦手な高齢の方やクルマに乗らない若い飼い主さんが多いと思っていました。でも、実際に運用を始めてみると、普段はご自身で運転する方の参加が意外に多くて驚きました」と社長の萩原正規氏は話す。そんな参加者からは、「(乗用車に比べてバスは)高さがあるから、景色が全然違った」「いつもは自分が運転するから、うちの犬をこんなに長い時間抱っこして出かけたのは初めてだった」などと新鮮な経験に対する喜びのコメントが聞かれるそうだ。

4月から5月にかけては、箱根や茨城県のひたち海浜公園、横浜中華街、千葉の養老渓谷などの一日ツアーが予定されている。

◆観光バスは“ハッピー産業”

同社は旅行会社への観光バスの貸し出しが本業だそうだが、コロナ禍によってバスツアーが全面的な休止を余儀なくされた。萩原社長は、およそ3年前に思い切って2台を完全に「わんちゃん専用」に改造した。一部に政府の事業再構築補助金なども活用し、半年をかけてつくり上げたそうだ。

肉球と犬のイラストが可愛い肉球と犬のイラストが可愛い

苦労してつくり上げた新しいビジネスモデルに、萩原社長は可能性を感じているようだ。

「バス旅行というのは、お客さまに楽しんでいただくハッピー産業だと私は思っています。ツアーに行くと、笑顔いっぱいのみなさんに会えるんです。帰りには、リラックスしたわんちゃんと飼い主さんが一緒に寝ている姿を見て、本当によかったな~と思います」

バス旅行は「ハッピー産業」と語る萩原社長バス旅行は「ハッピー産業」と語る萩原社長

今後については、「フランチャイズのような仕組みで、“わんわんトラベル”に協賛してくれるバス会社さんが見つかれば一緒にやりたいと考えています。知名度が上がって、もっとたくさんの飼い主さんとわんちゃんの笑顔が見られたらいいですね」と展望を語った。

多様化(ダイバーシティ)を尊重する大切さが世界的に叫ばれる時代。ペットを家族の一員と考える家庭の価値観も尊重されて然るべきだろう。一人ひとりのニーズに合った移動サービスを提案する同社の今後に注目したい。

《石川徹》

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