FC EXPO 2023において水素燃焼エンジンに関する展示を行っていたのはi Laboのブースだ。一つはリニアエンジンという変わった機構の内燃機関。もう一つは既存のディーゼルエンジンを水素エンジンにコンバートする技術。
リニアエンジンはi Laboのパートナーである、イスラエルのAQUARIUS ENGINEという会社が開発、実用化しているもの。分類としては内燃機関によってジェネレーターを回す発電機だ。燃料は軽油やエタノール、CNGなどマルチソースに対応する。水素でも稼働させることができるとして注目を集めている。リニアエンジンの機構は両端に穴が開いているシリンダーの中を、中心に円盤のついたシャフトが左右に摺動するようになっている。円盤の左右が燃焼室になっており、シャフトが左右に動くことで圧縮・膨張を繰り返す2サイクルエンジンだ。

軽油やエタノールなどは液体ベースの混合気だが、水素はかなりドライな混合気になる。リニアエンジンの水素対応は、ピストンのシールやノズルなどの耐久性、燃焼制御を変更しただけだという。欧州では内燃機関禁止の方向だが、AQUARIUS ENGINEは、発電機としての基準はクリアできるとする。排気量は780cc。出力は12~14kWが可能だという。機構がシンプルなのでコスト、耐久性でもレシプロエンジンなどより優位性がある。