アルミニウムは、アルミホイールが一般的になってクルマに新車装着されるようになってから、消費者にとっても身近な素材となっている。
目に届きにくい部位でも、たとえばエンジンのシリンダーブロックにアルミを採用することも特別なことではなくなった。特に最近では、高級車などのハイエンドモデルで車体の外板やサスペンションなどにもアルミニウムが採用されており、その利用範囲は広がっている。
電動化でアルミニウムの使用量は大幅に拡大
アルミニウムは、ガソリン自動車が発明されてからそれほど時間が経過しない20世紀初頭に使われはじめた。たとえばドイツのアウグスト・ホルヒ(アウディの前身の創業者)は技術革新にこだわりを持ち、1901年にエンジンの構造部にアルミニウムを使っている。そしてアウディは、1985年に鋼板の車体に替えてアルミニウムを使ったアウディ100を開発した。
日本でも1990年のホンダ『NSX』はオールアルミボディの車体だ。1999年のホンダ初のハイブリッド車(HV)である『インサイト』は、NSXとは別の構造となる押し出し材を骨格に使ったアルミニウム車体であった。

なぜ、アルミニウムを使うのか。
アルミニウムは、鉄と比較して比重が約3分の1という軽さに魅力がある。また、錆びにくくもある。一方で引張り強さは大きくないが、マグネシウム、マンガン、銅、ケイ素、亜鉛などを混ぜて合金化することで、強度を高めることができる。