ホンダ(Honda)は3月21日、米国オハイオ州で建設を進めていた新しい風洞実験施設を開所した、と発表した。電動化を進めるうえで、重要な施設になるという。
新しい風洞実験施設では、ホンダとアキュラの両ブランドの市販モデルだけでなく、レーシングカーの風洞実験も行えるのが特徴だ。これを可能にしたのが、独自の交換可能なモジュラーグランドプレーンシステムになる。
風洞実験施設には、市販モデルの開発用に設計された5ベルトのローリングロードシステムと、高性能スポーツカーとレーシングカーをテストするためのシングルワイドベルトシステムが備わる。最高でおよそ305km/hの風速を再現することができる。
また、風洞実験施設には、マイクとカメラが組み込まれており、リアルタイムの音響データを収集できる。ホンダは電動化を進めるうえで、騒音の低減が車両設計において、重要度を増すと見ている。エンジン音や排気音がないEVの車内では、風切り音が目立つ。ホンダのエンジニアは、風洞実験施設の音響テストシステムを利用して、車両の内部と外部のノイズ発生源の正確な位置を、これまでになく迅速に特定できるようになるという。
さらに、風洞実験施設は、ホンダの次世代EVの航続と性能を向上させることにも貢献すると見込む。ホンダは、米国で最も燃費効率が高く、CO2排出量が最も少ないフルライン自動車メーカーとしての地位を、継続的に進化させる取り組みを支援する、としている。