ナビタイムジャパンは2月17日、「東京臨海副都心エリアにおけるアニメツーリズムを活用した誘客及び周遊促進の実証実験の報告会」を東京都内で開催した。
本実証実験は「令和2年度 既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」の一環として、2022年1月22日~23日の2日間で実施。お台場を舞台にしたTVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(通称『ニジガク』)の録り下ろし車内アナウンス付きオリジナルラッピングパスを運行し、ファンの反応をアンケート集計などで計測した。
ナビタイムジャパンMaaS事業部長の森雄大氏によると、これまで数多く行われてきたMaaS実証実験では「地域×モビリティ×デジタル」の3つを軸に展開されてきたが、今回はそこに「物語」を加えることで、より多くの誘客が行えるのではないかというところを実験したかったという。単なる移動や情報収集の手段としてのモビリティだけでなく、その場所へ行く目的をつくり、移動自体もエンタメ化することで客の誘致及び満足度の向上を図るのが狙いだ。


現在お台場エリアでは新型コロナウイルスの影響により、国内外の観光客が激減。さらに商業施設が分散しているため、観光客の周遊性に課題があるという。そこで今回は、作品に関連するエリアを周遊ルートに設定することで、楽しく移動しながら、お台場エリア全体を巡ることができるような仕組みが展開された。



報告会では用意していた予約チケットが約12分で完売したことや、「ラッピングバスにまた乗りたい」というアンケート回答が97%あったこと。そしてチケットが当選しなかったファンもバスを撮影するために大勢お台場エリアに訪れたことを受け、「いろいろな実験をしてきたが1番大きな手応えを感じた」と森氏は述べていた。

さらに、乗車料金についてのアンケートから、車内アナウンスやラッピングなどコラボ企画であれば1000~2000円の支払い意思がみてとれたそうで、これは一般的な路線バスの1日乗車券のおよそ2~4倍の付加価値となる。今回の実験は無料での運行であったが、もし本格運用をすることになれば、運行費用・収益化の手段として十分見込めるとも語っていた。
また、実験によって得られた課題として、各商業施設に送客は一定数できたものの、消費支援にまでは及ばなかったことが挙げられた。割引クーポンやノベルティ配布などで実消費に繋げる追加施策を行ったり、各施設での降車時間、周遊ルートの見直しなど改善の余地が見られるという。

総評として本実験の目的である「地域×モビリティ×デジタル×物語」の有効性が確認できたとされ、実験は成功と言えるだろう。アンケートでは巡回バスを求める声や関連スポットを便利に巡回できるモビリティのニーズも数多くあったそうで、今後もアニメとモビリティをかけ合わせたお台場エリア、ひいては各観光スポットの盛り上げに期待したい。