◆水平基調のデザインに歴代モデルのDNAを継承

新型のボディサイズは、全長4973mm、全幅1941mm、全高1903mm、ホイールベース3124mm。 全長5173mmのロングバージョンも用意する。従来型に対して、ホイールベースは長く、全高は低くなった。エアロダイナミクスを改善することにより、燃費性能を高め、航続を延ばすように設計されている。
新型マルチバンには、LEDヘッドライトが標準装備されている。オプションで「IQ.LIGHT」が用意されており、「LEDマトリックスヘッドライト」は、対向車のドライバーを幻惑させることなく、コーナリング中でも明るく前方を照射する。IQ.LIGHTシステムは、デイタイムランニングライト機能として、フロントグリルに照明付きLEDラテラルバーが装備されている。
◆スライド式センターコンソールは格納式テーブルとして利用可能

新型は3列シートを備えており、最大7名が乗車できる。2列目と3列目のシートは、従来型に対して最大25%軽量化されており、脱着が可能だ。2列目シートは180度回転して、対面レイアウトにできる。3列目シートは、従来のベンチシートから独立3座シートに置き換えられ、1脚ずつ取り外しすることが可能だ。
従来型のハンドブレーキは廃止され、新型では電動パーキングブレーキを採用した。トランスミッションは、シフトバイワイヤーによって制御される「DSG」のみ。
シフトレバーはスイッチに置き換えられ、インストルメントパネルに配置された。これにより、乗員スペースが拡大している。新型マルチバンは、3列目シートの後ろに469リットルの荷物スペースを確保した。3列目シートを取り外せば、1844リットル(パノラマガラスルーフ装着車で1850リットル)に拡大する。
◆PHVシステム全体のパワーは218ps

新型マルチバンのeハイブリッドのPHVパワートレインは、エンジンが直噴1.4リットル直列4気筒ガソリンターボ「TSI」で、最大出力150psを発生する。モーターは、最大出力115ps。エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、218psのパワーを引き出す。トランスミッションは6速DSG。EVモードでは、サイレントなゼロエミッション走行を可能にしている。
二次電池は、蓄電容量13kWhのリチウムイオンバッテリーだ。新型マルチバンのフラットなフロアの下に搭載される。これにより、室内スペースを犠牲にせず、車両の重心を下げて、ハンドリング性能を追求した。充電ソケットは、フロントフェンダーの右側に配置されている。
◆新型の生産では自動化率を93%に引き上げ

ハノーバー工場では、自動化とデジタル化戦略を進めている。例えばプレス工程では、従来型の製造プロセスでの自動化の割合は約77%だった。新型マルチバンでは、これを93%に引き上げた。
製造ロボットのモニタリングは、1か所から複数の工程を一括して管理する。スマートウォッチなどのデジタルデバイスによって、製造ロボットと接続された。部品交換やメンテナンスの必要性が事前に報告されるため、ダウンタイムを回避できるという。
塗装工程には現在、新しい2色システムが導入されている。ここで、新型マルチバンは人気の高いツートンカラーに仕上げられる。また、部品の自動輸送システムにより、組み立てプロセスの効率が向上。工場内の自動運転車が、組立ラインに直接部品を運ぶ、としている。