【INDYCAR 第15戦】コルトン・ハータがラグナ・セカ戦を“連覇”、琢磨は27位…パロウ2位で王座に近づく

第15戦ラグナ・セカの表彰台。左から2位パロウ、優勝ハータ、3位グロージャン。
  • 第15戦ラグナ・セカの表彰台。左から2位パロウ、優勝ハータ、3位グロージャン。
  • 2シーズンぶりのラグナ・セナ戦、#26 ハータ(写真先頭)がポール・トゥ・ウインを飾る。
  • 優勝の#26 ハータ。
  • ほぼ完勝で今季2勝目をあげたコルトン・ハータ。
  • 2位の#10 パロウ。
  • アレックス・パロウは今回の2位でタイトル獲得に大きく前進した。
  • 3位の#51 グロージャン。
  • 3位を喜ぶロマン・グロージャン。

NTTインディカー・シリーズ第15戦の決勝レースが現地19日に米カリフォルニア州のロードコース「ラグナ・セカ」であり、コルトン・ハータが“当地連覇”で今季2勝目をあげた。佐藤琢磨はスピンを喫したことが響き、27位。アレックス・パロウが2位に入り、王座に近づいている。

シーズン最後の3連戦、その2戦目となる今季第15戦はラグナ・セカ(現コース名:WeatherTech Raceway Laguna Seca)で開催される「Firestone GP of Monterey」である。ラグナ・セカは、大きな高低差の名物コーナー“コークスクリュー”の存在でも知られる著名なロードコースだ。予選ではコルトン・ハータ(#26 Andretti Autosport w/ Curb-Agajanian/ホンダ)がポールポジションを獲得。佐藤琢磨(#30 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)は23位と、今季は予選での苦闘傾向が続いてしまっている。

タイトル争奪戦も大詰め。数字上は5人、実質的には4人に絞られたと考えていい残り2戦の状況で、ポイントリーダーのアレックス・パロウ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)は予選4位につけた。これを25点差で追うランキング2位のパトリシオ・オワード(#5 Arrow McLaren SP/シボレー)は予選6位。

95周の決勝レース(路面ドライ)は中盤まで各陣営がタイヤのタレに悩まされていると思える展開になったが、ポール発進からのハータの支配的な流れは終始一貫、不動だったといっていいだろう。序盤2周目に同じ陣営の予選2位アレクサンダー・ロッシ(#27 Andretti Autosport/ホンダ)が迫ってきたときに軽く当たる場面があったが、ロッシがコースオフして勝負権を失った一方、ハータにはほとんど影響がなかった(ロッシの最終結果は25位)。95周のうち、計91周をトップで走って、ハータはポール・トゥ・ウインを飾る。

ハータは今季2勝目。ラグナ・セカでは2019年に続く“当地連覇”であり(2020年は開催なし)、当地2連続のポール・トゥ・ウインとなった。

優勝したコルトン・ハータのコメント
「ここラグナ・セカでレースを戦うのが本当に好きなんだ。素晴らしいコースだし、自分にとっても、自分の家族にとってもいいコースなのでね(父ブライアン・ハータも2勝)。これでラグナ・セカで僕はキャリア2戦2勝、信じられないことだよ。週末を通してずっと速い存在であり続けることができた。そして、レースできっちり勝てたことを嬉しく思う。ラグナ・セカは自分が北米大陸で一番好きなサーキットだ。それも、他を大きく引き離してのナンバーワンなので、今日勝てたことのもつ意味はとても大きい」

2000年3月30日生まれ、21歳のコルトン・ハータは早くも通算5勝目をあげている(2019年からの3季で、2勝~1勝~2勝。初優勝時の2019年3月24日は、まだ18歳だった)。

決勝2位はポイントリーダーのパロウ。チャンピオン獲得に向けて大きく近づく2位である。3位はレース終盤のチャージが光った、昨季までのF1レギュラー選手、ロマン・グロージャン(#51 Dale Coyne Racing with RWR/ホンダ)。4位がグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)で、ホンダ勢の1-2-3-4フィニッシュだった。シボレー勢最上位は5位のオワード。

なお、今回の結果でホンダの今季マニュファクチャラーズタイトル(エンジン部門王座)獲得が決まったとのことである。

一方、ドライバーズチャンピオン争いではランキング4~5位のスコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)とマーカス・エリクソン(#8 Chip Ganassi Racing/ホンダ)が脱落となり、数字的可能性は上位3人に絞られた。ただ、ランキング3位のジョセフ・ニューガーデン(#2 Team Penske/シボレー)は首位のパロウから48点差、これは最終戦でフルマークの54点(優勝50点+ボーナスフル得点)を獲得したとしても、現状、無事に出走しさえすれば5点が入るインディカーではほとんど可能性がない差と考えていい。

(上記3人の第15戦の決勝結果=ニューガーデン7位、ディクソン13位、エリクソン6位)

実質の争いはトップ2の若手対決、パロウとオワードに絞られたようだ。ランキング首位のパロウが517点で、ランキング2位のオワードは482点、その差は35点。パロウの優位は明らかで、彼は最終戦で11位に入れば自力王座決定である(手元計算)。

佐藤琢磨は今回のレース序盤、いいペースと戦略で走っているように思われた。だが、37周目にスピンを喫し、そこに後続車が接触したことでマシンにダメージを負い、ピットでの修理中に3周ほどを失ってしまった。この段階で最下位の27番手となり、最終的には終盤にストップしている(リザルトは27位)。

#30 佐藤琢磨のコメント
「レースの前半はとても良かったです。早いタイミングで行なったピットストップによって優位を手に入れられましたし、マシンは非常に良い仕上がりになっていました。朝のウォームアップで3番手のタイムをマークしましたからね。昨日までとはまったく違うマシンになっていて、それが効果を発揮しました」

「そのマシンでレースを思う存分楽しめていたのですが、残念なことにそれまで一度も乗ったことのないコークスクリュー内側の縁石に引っかかり、スピンを喫しました。そこへスコット・ディクソンが(避けきれずに)来て接触。サスペンションとディフューザーがダメージを受けたため、ピットに戻りました。交換できるものは交換しましたが、ダメージは大きく、レース終盤にリタイアを余儀なくされました」

「今日は上位でフィニッシュするチャンスでした。このところの数戦でチームはスピードを大幅に上げています。それはとてもポジティブに感じられることです。ロングビーチでいいレースを戦えることを楽しみにしています」

今季最終戦はロングビーチ市街地コース(カリフォルニア州)が舞台。琢磨にとっては2013年に自身のインディカー初優勝を飾った場所である。2017年から続く“連続シーズン勝利”を「5」へと伸ばすためのラストチャンス、なんとかものにしてほしいところだ。ランキングの面でも現在琢磨は12位(302点)だが、11位とは1点差、10位とも2点差という接戦状況、トップ10入りを果たしてもらいたい。

チャンピオン争いの終幕とともに琢磨の活躍に期待がかかる今季のインディカー最終戦(第16戦)は次週、現地26日決勝の予定で実施される。

また、今回のレースウイーク中には2022年シーズンのスケジュールが発表されており、それによると来季のインディカーは全17レース、開幕は2月末という早い時季に設定されている。第106回インディ500は5月29日決勝予定。

《遠藤俊幸》

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