リマックのEVハイパーカー、最終耐候性テスト…2021年後半に生産開始

電動化を進めるポルシェが出資比率を24%に引き上げ

軽量モノコックの重量は200kg以下

4モーターで最大出力1914hp

プラス48度からマイナス28度の環境で耐候性テスト

リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
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リマック・アウトモビリ(Rimac Automobili)は3月15日、2021年後半に生産開始予定のEVハイパーカーのリマック『C_Two』(Rimac C_Two)が、最終耐候性テストの段階に入った、と発表した。

電動化を進めるポルシェが出資比率を24%に引き上げ

リマック・アウトモビリ社は2009年、クロアチアに設立された。リマック・アウトモビリ社の名を広めたのが、2011年に発表されたEVスーパーカーの『コンセプトワン』だ。コンセプトワンは、「世界初のEVスーパーカー」を掲げて登場した。2ドア、2シーターのスポーツカーデザインで、前後アクスルにそれぞれ2個ずつ、合計4個のモーターを搭載し、4輪を駆動する。

リマック・アウトモビリ社は2018年、ポルシェからの出資を受けた。ポルシェがリマック・アウトモビリ社の10%の株式を取得し、その後、出資比率を15.5%に引き上げた。リマック・アウトモビリ社は、高電圧バッテリー技術と電動パワートレインに関するノウハウを持っており、ポルシェは同社の技術を電動化の推進に役立てていく。ポルシェはリマック・アウトモビリ社への出資比率を、現在の15%から24%に引き上げることを決めており、ポルシェは電動化への取り組みをさらに強化していく。

軽量モノコックの重量は200kg以下

リマックC_Twoのボディサイズは、全長4750mm、全幅1986mm、全高1208mm、ホイールベース2745mm。車両重量は1950kg。カーボンファイバー製モノコックを採用する。自社設計によるフルカーボンファイバー製モノコックは、自動車メーカーで最大の単一カーボン構造とした。バッテリーやモーターなどの電動パワートレインは、このモノコックと一体設計されている。このモノコックは、ルーフを合わせても重量が200kg以下と軽い。モノコックとカーボンルーフは接合されており、車体の前部と後部は、アルミ製の衝撃吸収構造とした。

インテリアはハンドメイドで、つや消しのカーボンファイバートリムパネルが、ブルーレザーとのコントラストを強調する。ダッシュボード中央には、大型のディスプレイモニターを装備する。また、ドライバー正面のメーターもデジタル化されたフルデジタルコックピットになる。助手席前方にも、小型のディスプレイがレイアウトされている。

4モーターで最大出力1914hp

4つの電気モーターを搭載する。4個のモーターは各車輪を駆動し、合計で最大出力1914hp、最大トルク234.5kgmを引き出す。強力なモーターは、0~96km/h加速2秒以下、0~300km/h加速11.6秒、最高速412km/hと、世界最高峰の性能を発揮する。

バッテリーは、蓄電容量が120kWhと大容量のリチウムマンガンニッケルだ。1回の充電での航続は、最大550km(WLTP計測)の性能を備える。充電は出力250kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの80%の容量をおよそ30分で充電可能にしている。

電子制御ダンパーを備えたダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、滑らかで快適な乗り心地を追求している。ブレーキは前後ともに6ピストンのキャリパーで、ブレーキローター径は前後ともに390mmとした。また、アクティブエアロシステムを採用した。前後のディフューザー、リアウィング、アンダーボディインレットなどにより、エアロダイナミクス性能を追求する。

プラス48度からマイナス28度の環境で耐候性テスト

リマックC_Twoは現在、2021年内の発売に向けて、最終耐候性テストの段階に入った。実際の走行条件において、直面する可能性のあるあらゆる極端な状況に対応できるように、エンジニアはC_TwoのHVAC(暖房、換気、空調)システムの厳しい耐候性テストを実施している。

プロトタイプを、最高でプラス48度から最低-でマイナス28度の環境を作り出すことができるテスト機器を使用して、室内温度が70度に達するまで、耐候性テストを行う。次に、車両のコンプレッサー、ポンプ、ファンが作動した状態で、各種コンポーネントを温めることなく、室内温度が22度になるまで冷却する。

さらに別のテストでは、ドアを大きく開いた状態でマイナス28度の気温下にひと晩放置し、全体を薄い氷層で包み込んだ。氷点下の気温で車内の液体が濃くなると、ポンプが作動しにくくなる。しかし、すべてが問題なく機能し続け、グローバルなホモロゲーション目標を充分に達成できることが確認されたという。

このテストに続いて、ホモロゲーションテスト、耐久性テスト、トリム試験、NVHチューニング、グローバル製品評価の最終段階を経て、量産モデルの生産を2021年後半から開始する予定、としている。

《森脇稔》

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