次世代e-POWER、発電専用エンジンにして世界最高レベルの熱効率50%を実現

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日産自動車は2月26日、次世代「e-POWER」向け発電専用エンジンで、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を開発したと発表した。

従来のエンジンは、車速など、様々な走行負荷をカバーする出力特性が必要だった。しかし、エンジンを発電専用として特化できるe-POWERは、発電とバッテリー蓄電量を適切にマネージメントすることで、エンジンの使用領域を最も効率の良いポイントに限定し、エンジン燃焼を高効率化することが可能。この考え方は従来のエンジン開発とは全く異なったアプローチであり、エンジンの役割が大きく変わることを意味する。将来的には完全な定点運転とすることでさらなる熱効率の向上も可能。次世代e-POWER用エンジンは、この考え方を基に、完全にe-POWER専用設計として開発している。

今回日産が熱効率50%を実現するために開発したのが、新燃焼コンセプト「STARC」(Strong Tumble and Appropriately stretched Robust ignition Channel)。筒内ガス流動(シリンダー内に吸入した混合気の流れ)や点火を強化し、より希釈された混合気を高圧縮比で確実に燃焼させることで熱効率を向上させるという考え方だ。

従来エンジンの場合、変化する走行負荷に対応するために、混合気の希釈レベルの制御には制約があり、筒内ガス流動や点火方法、圧縮比などにも、様々な運転条件のトレードオフによって制約を受けてきた。しかし、エンジンを発電専用に特化し完全定点運転で使用するというブレークスルーによって、熱効率を飛躍的に向上させることが可能となる。

希釈方式としてEGR(排出ガス再循環)を使う場合で43%、リーンバーン(希薄燃焼)を使う場合で46%の熱効率を既に多筒エンジンにて実証しており、それらを完全定点運転することと、廃熱回収技術を組み合わせることで、熱効率50%が実現できることを確認した。

e-POWERはガソリンエンジン、発電機、インバーター、モーターからなるコンパクトな一体型パワートレインと高電圧バッテリーで構成。モーターのみで100%駆動するので、EVと同様、走る楽しさや静粛性に加え、燃費の良さが特長だ。e-POWERは従来のハイブリッドシステムとは異なり、エンジン出力とタイヤの駆動力とを完全に切り離すことで、エンジンを発電専用として使うことが可能。今回発表した技術は、エンジンが発電専用であることを最大限に活かしたe-POWERだからこそ実現でき、さらなるCO2排出量の削減を可能とするものだ。

《纐纈敏也@DAYS》

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