【スズキ ソリオ 新型試乗】地味ぃ~にいいクルマ…中村孝仁

先代『ソリオ』が登場した時に中身が相当に凄いと書いた。新しくなってその印象は全く変わることはない。ただし、相変わらず地味であるが、どうやらそれもこのクルマの持ち味のようだ。

5年ぶりのモデルチェンジといっても、プラットフォームとエンジンなどは先代と変わらずで、ボディを少し伸ばして一番の懸案事項であった荷室と居住空間の拡大や、音振対策を施したのが今回のモデル。要はリフレッシュしたモデルといって良いと思う。(メーカー的には全面改良)

静粛性はかなりドラスティックに変わった

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それにしても先代がデビューした時、メーカーのエンジニアと話して指摘したポイントが見事に修正されていたのは、個人的にとても嬉しかった。そのひとつはロードノイズの大きさ。

極端に軽量化した置き土産的なもののように感じられたが、今回はFWDモデルでもちょうど1000kg(ハイブリッド車)で流石に1トン切りはできなかったが、そのロードノイズ対策はかなり入念で、リアサスにスタビライザーストッパーを装備して振動を抑制。従来は部分採用だったリアフェンダーライニングを全面に採用。フロント側はダッシュアウターサイレンサーを従来の上下分割型から一体型に代えて吸音性を向上させるなど、かなり入念に音振対策が行われている。

結果はというと、路面からの音の侵入はきっちりと止められていて、室内の静粛性は正直かなりドラスティックに変わったと評して良いと思う。もう一つ先代で気になったポイントがキャスターアクションの無さだったのだが、さすがに5年前に試乗した時に指摘した時点でメーカー側もわかっていたようで、今回はちゃんとそこそこのセルフアライニングトルクが与えられていた。

というわけで、走って気になっていた2点をしっかりと潰してきた結果、『ソリオ』は本当に良いクルマになったと思う。勿論性格的に走りを愉しむ類のクルマではないから、運動性能に関していえば、ステアフィールにしてもロール剛性にしてもあるいはロール角にしてもそれなり。当たり前だがあくまでもファミリーを乗せて快適に移動する上で良いクルマ、というわけである。

国産車としては異例?たっぷりとしたシートサイズ

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今回ボディはリアオーバーハングを80mm延長して全長が3790mmとされた。全幅方向も20mm増やされている。この結果、特にラゲッジスペースが従来よりも床面長で100mm拡大した。リアシートは前後にスライドするから、リアシートを一番前に持って行くと、715mmの床面長が確保できる。さらにリアシートは前後スライドのみならず、リクライニングも可能だから、後席住人が大人でも快適な着座感覚が得られる。

こんなにあったかなぁ?と思ったのがフロントシートの座面長の長さだ。国産車としては異例な長さがあって、自分で測ってみた結果は500mm。我が家のシトロエン『ベルランゴ』は480mmだから、それより20mmも長い。恐らくこの長さに匹敵するのはVW系のモデルくらいだろう。同様に幅も広くたっぷりとしたシートサイズを持つから、大柄なドライバーでも十分に対応できる。

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新たな装備としては空調を満遍なく室内に行き渡らせるためのスリムサーキュレーターがルーフに装備されたこと(MZに標準装備)や、ヘッドアップディスプレイの装備(こちらもMZに標準装備)などだ。因みにヘッドアップディスプレイはスズキ小型車では初採用である。残念ながらスリムサーキュレーターの効果は後席で移動していないので不明である。

小さなネガをとことん潰した「地味な進化」

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基本的に変更のないドライブトレーンはまずまずの動力性能を持ってはいるが、これもファミリーユースとしてそれなりというレベル。相変わらずISGのおかげで非常にスムーズなエンジンストップからの発進を可能にしている。勿論加速時のアシストもしているのだろうが、印象としては限定的だ。

それよりも従来よりも乗り心地が良くなったと感じられたのがうれしい驚き。勿論侵入する音が小さくなったことによって快適さが増したということもあるけれど、全体的に路面突起の往なしがうまくなっている。リアサスペンションのストローク拡大が効いているのかもしれない。

とにかく小さなネガをとことん潰してほとんどスタイルを変えず地味な進化を遂げているのだが、こうした傾向が日本車に多くなってきている(ホンダ『N-ONE』など)ことは、とても良い兆候のように思える。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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