9日、F1参戦チームの「アルファタウリ」は、15日にアブダビで開催される“F1若手テスト”に佐藤万璃音(さとう まりの)を起用すると発表した。アルファタウリからは角田裕毅(つのだ ゆうき)も同テストに参加することが既に決まっている。
佐藤万璃音は1999年5月12日生まれの現在21歳。中学卒業後、ヨーロッパに渡ってフォーミュラレースの階段を上がってきたドライバーだ(タイトル獲得歴もある)。2019年、F1の登竜門ともいわれるFIA-F2選手権にシーズン途中から参戦。今季2020年はTridentチームでF2にシリーズ参戦し、年間総合ランキング22位(最高位8位)という成績だった。
今季のF2で高い実績を残したとはいえない佐藤、しかし貴重なチャンスが舞い込むこととなった。今季F1最終戦は今週末の11~13日に開催されるアブダビGP(ヤス・マリーナ・サーキット)だが、その終了翌々日の15日に同地にて実施予定のF1ヤングドライバーテスト(F1若手テスト)、これへの参加が決まったのだ。
佐藤を起用するチームはアルファタウリ。佐藤と同じく今季F2に参戦していた角田裕毅も、アルファタウリから15日の若手テストに参加することが決まっている。
アルファタウリはレッドブル系列のチームで、ホンダ製パワーユニットを搭載している。レッドブルとホンダの両方のジュニアプログラムに所属し、今季F2でシリーズ3位に輝いた角田の場合は、その実績・実力を認められてアルファタウリにテストで起用されるのは自然な流れといえよう。一方で佐藤の起用には正直、唐突に思えるところがある。
佐藤の起用について、アルファタウリのフランツ・トスト代表はこう語っている。
「彼は今季のF2で、シーズンを通して確実な仕事(solid job)をしていた。F1マシンを走らせるのに値するものであったと思う。彼がスキルをもったドライバーであり、良い仕事ができると我々は確信している」
見ている人は見てくれていた、というところだろう。現代F1はテストに参加するのも従来以上に大変になっているだけに、成績以上の評価を得てのチャンス獲得は大いに讃えられるべき快挙である。
佐藤は「今回、このチャンスをいただけたことは、ものすごく嬉しいです。早くマシンに慣れて最大限に学びたいですし、楽しみたいとも思っています」と、テストへの抱負を語っている。将来への財産を得ると同時に、さらに評価を高める機会とすることが期待される佐藤万璃音だ。