ハイパーEVの電磁波障害テストとは…リマックの『C_Two』で見る[動画]

4モーターで最大出力1914hp

急速チャージャーでバッテリーの8割を30分で充電可能

自動車メーカーで最大の単一カーボン構造

EVの開発で非常に重要なEMCテスト

リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ
  • リマック C_Two のプロトタイプ

リマック・アウトモビリ(Rimac Automobili)は12月3日、2021年から納車を開始する予定のEVハイパーカー、リマック『C_Two』(Rimac C_Two)の開発の最新段階として、EMC(電磁波障害)テストを開始した、と発表した。だ。

4モーターで最大出力1914hp

リマック・アウトモビリ社は2009年、クロアチアに設立された。リマック・アウトモビリ社の名を広めたのが、2011年に発表されたEVスーパーカーの『コンセプトワン』だ。コンセプトワンは、「世界初のEVスーパーカー」を掲げて登場した。2ドア、2シーターのスポーツカーデザインで、前後アクスルにそれぞれ2個ずつ、合計4個のモーターを搭載し、4輪を駆動する。

リマック・アウトモビリ社は2018年、ポルシェからの出資を受けた。ポルシェがリマック・アウトモビリ社の10%の株式を取得し、その後、出資比率を15.5%に引き上げた。リマック・アウトモビリ社は、高電圧バッテリー技術と電動パワートレインに関するノウハウを持っており、ポルシェは同社の技術を電動化の推進に役立てていく。

リマックC_Twoには、4つの電気モーターを搭載する。4個のモーターは各車輪を駆動し、合計で最大出力1914hp、最大トルク234.5kgmを引き出す。強力なモーターは、0~96km/h加速2秒以下、0~300km/h加速11.6秒、最高速412km/hと、世界最高峰の性能を発揮する。リマック C_Two のプロトタイプリマック C_Two のプロトタイプ

急速チャージャーでバッテリーの8割を30分で充電可能

バッテリーは、蓄電容量が120kWhと大容量のリチウムマンガンニッケルだ。1回の充電での航続は、最大550km(WLTP計測)の性能を備える。充電は出力250kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの80%の容量をおよそ30分で充電可能にしている。

電子制御ダンパーを備えたダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、滑らかで快適な乗り心地を追求している。ブレーキは前後ともに6ピストンのキャリパーで、ブレーキローター径は前後ともに390mmとした。また、アクティブエアロシステムを採用した。前後のディフューザー、リアウィング、アンダーボディインレットなどにより、エアロダイナミクス性能を追求する。

自動車メーカーで最大の単一カーボン構造

カーボンファイバー製モノコックを採用する。自社設計によるC_Twoのフルカーボンファイバー製モノコックは、自動車メーカーで最大の単一カーボン構造とした。バッテリーやモーターなどの電動パワートレインは、このモノコックと一体設計されている。このモノコックは、ルーフを合わせても重量が200kg以下と軽い。モノコックとカーボンルーフは接合されている。車体の前部と後部は、アルミ製の衝撃吸収構造とした。ボディサイズは全長4750mm、全幅1986mm、全高1208mm、ホイールベース2745mm。車両重量は1950kgとした。

インテリアはハンドメイドだ。つや消しのカーボンファイバートリムパネルが、ブルーレザーとのコントラストを強調する。ダッシュボード中央には、大型のディスプレイモニターを装備する。また、ドライバー正面のメーターもデジタル化されたフルデジタルコックピットになる。助手席前方にも、小型のディスプレイがレイアウトされている。

EVの開発で非常に重要なEMCテスト

リマック・アウトモビリ社は、このリマックC_Twoの開発の最新段階として、EMC(電磁波障害)テストを開始した。EMCテストでは、すべての電気デバイスのテストと、それらが放出する電磁波を測定し、実際の世界でどのように機能するかを確認する。EMCテストが行われなければ、車両のエアコンや無線システムなど、多くのものが適切に作動しないという。

EVの開発において、EMCテストは非常に重要だ。史上最もパワフルなEVハイパーカーの開発では、EMCテストはさらに重要になる。電磁放射は、EUの承認規格に従って測定される。

テストは外界の干渉から完全に遮断された半無響のEMC測定ルームで行われる。テストの間、プロトタイプ車両はダイナモ上で駆動しながら、20MHz~20GHzの放射線レベルにさらされる。この環境下で、エアコン、ライト、ワイパーなどを作動させ、確実に機能するかどうかを評価する。テストでは、車載インバーターや配電システムが正常に反応することを確認するために、「レンジ」や「トラック」などの走行モードも試される。

テストが完了すると、プロトタイプ車両を分解し、主要なコンポーネントを評価し、改善すべき部分を特定する。その後、車両は再び組み立てられ、EMCテストがもう一度実行される、としている。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集