準天頂衛星システム「みちびき」によるサービス運用例…衛星測位・位置情報展2020

準天頂衛星システムサービスはフライングカーテクノロジー展と併催された「SATEX(衛星測位・位置情報展)2020」に出展し、同衛星システムの利活用について最新状況を紹介した。同展示は東京ビッグサイト南棟4Fで11月6日まで開催されている。

準天頂衛星は米国のGPSの衛星測位システムを補完するものとして日本が独自に整備してきたシステムで、日本のほぼ真上(準天頂)に衛星をとどめることで補強信号を加えれば最高で数cmの測位精度を得られるようになるものだ。すでに2018年11月から初号機「みちびき」を含めた4機体制が実現しており、それ以降、本格的なサービス提供がスタートしている。準天頂衛星では他にも災害・危機管理通報サービス「災危通報」や、衛星安否確認サービス「Q-ANPI」なども可能としており、会場ではその実例も紹介された。

会場でまず目を引いたのが大型の農業ドローンだ。これは大型液剤&粒剤農薬散布用として東光鉄工が開発したもので、バッテリーを本体プレート底部に配置したことによる低重心設計で安定した飛行を実現する。注目なのはセンチメータ級の高精度測位に対応するCLAS受信機に対応していることで、これによってきめ細かな散布が可能になる。このセンチメータ級の高精度測位は測量、情報化施工にも活用されており、会場にはそれを実現するために用いるCLAS受信機の展示も行われていた。

衛星測位による誤差を減らす目的で活用できるものとしては、サブメータ級測位(SLAS)に対応するシステムも紹介された。その一つがSLAS対応のGNSS受信機を搭載した小型ロボット端末「Ropot」で、本田技術研究所が開発した。この端末をランドセルの肩ベルト上部に固定して使用することで、SLAS対応GNSS受信によって交通安全の注意喚起を高精度に行えるようになる。

使い方としては保護者が必要なポイント、たとえば通学路の途中で一時停止が必要な横断歩道や車が多いエリア、周囲から死角になりやすい地点などを、事前にスマホアプリを使ってこの端末に登録。その情報に基づき、端末を装着した子どもが登録地点に近づくと振動で安全確認のリマインド(注意喚起)が行われる。

端末にはクラウドを介して連携したスマホに現在地を伝える機能も搭載されるほか、センサーによって背後から接近する車両を振動で知らせる機能も装備する。みちびきのSLASによる高精度測位を活用したリマインド機能と合わせ、より多くのシーンで交通安全の意識向上が図れるというわけだ。この端末は募集に応じた小学校において実証実験中で、その評価を得てサービス実施につなげるかを検討する。

みちびきが提供する災害・危機管理サービス「災厄通報」に対応したLED照明も紹介された。災厄通報とは、防災機関から発表された地震や津波発生時の災害情報など、危機管理情報をみちびき経由で送信するサービスのこと。このサービスはサブメータ級測位補強サービスと同様にL1S信号を使用し、4秒間隔で災害情報などを送信することになっている。対応するチップも発売済みで、セルスターのドラレコ「AR-46LA」でもこのチップは使われている。

会場で紹介されていたのは、LED照明の専門メーカーであるエル光源の「みちびき対応型ソーラー照明」だ。同社はこれまでにバッテリー残量に応じて出力(照度)をコントロールすることで“必ずつく照明灯”を実現し、防災灯として多くの自治体に納入してきた実績を持つ。この照明では点灯・消灯をGNSSの時刻情報によって行い、設置位置に応じた災危通報を提供する。さらに、組み合わせたサイネージに出力してサイレンの発報や照明の明るさを変更することも可能となる。すでに第1号モデルは和歌山県の津波避難タワーに納入されているという。

《会田肇》

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