京セラのコンセプトカー『モアイ』…モビリティ世界の構造が大きく変わる 役員談

京セラは9月29日、同社独自のデバイスを数多く搭載したコンセプトカー『Moeye(モアイ)』を開発したと発表した。このコンセプトカーは2018年に開発した『スポーツEVコンセプトカー』に続く2台目で、車室内空間の重要性に着目し、未来のコックピットをイメージしたという。

「クルマがこれからスマホになるということが言われているが、スマホの本当の意味はコンピュータと人間との関わり方の距離をめちゃくちゃ縮めたことだと考えている。そう考えると、クルマと人間の距離とか、関わり方が大きく変わるととらえないといけないと思う。スマホがこれだけ普及すると誰も予想していなかったように、これからクルマと人間の関係がどう変わるのかということを予想するのは難しい」と研究開発本部長の稲垣正祥執行役員上席は話し、モアイを開発することによって、モビリティの世界に一つの提案をしたという。

モアイは走行できないが、完全自動運転が実現した未来を想定して開発された。その象徴的な機能は、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授と協働してつくり上げた、光学迷彩技術を用いたコックピットだ。なんでも車両前方の風景を映してダッシュボードを透明に感じさせるという。

その仕組みは、クルマ前部に搭載された8個のカメラでとらえた映像を、リアルタイムでコンピュータ処理し、乗員背後のプロジェクターからダッシュボードに投影している。横幅1200mmのダッシュボードは表面に再帰性反射材が使われていて、光が当たると光源の方向にそのまま反射する工夫が施されている。したがって、乗員の目線がプロジェクターの想定した位置から大きくずれてしまうと、ダッシュボードに映し出された映像はよく見えなくなってしまうそうだ。

そのほか、人間の視覚、触覚、聴覚、嗅覚を楽しめる京セラ独自の各種デバイスを数多く搭載し、クルマとして重要な安全性とエンターテイメント性の両方を兼ね備えている。まさしく京セラが考える未来のクルマの世界観を世の中に提案するコンセプトカーとなっているわけだ。

「今回のモアイの提案は、人があまり注目していない部分に新しい価値があるのではないかということだ。それがどうビジネスに結びつくかは、正直言って分からない。ただ、この価値提案に共感して、私どもと一緒に何かやりたいという企業がいたら是非一緒にやりたい」と稲垣執行役員上席は話し、こう強調した。

「モビリティの世界は完成車メーカーがいて、ティア1、ティア2というヒエラルヒーになっているが、これから先、この構造が大きく変わるのではないかと思っている。特に新規参入する企業がMaaSという切り口で、新しいサービスを展開するところがたくさん出てきて、私たちの提案が受け入れられる余地も出てくると思う。構造変化の中で新しい領域をつくり出していきたい」

京セラは現在、自動運転やADAS(先進運転支援システム)に相当なリソースを投入して研究開発を進めており、今回のモアイはモビリティでの移動に対して新たな価値を提供するものと言っていいだろう。

《山田清志》

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