[スピーカー交換からのバージョンアップ]フロント3ウェイに挑戦…メリットから実践方法まで

ミッドレンジ(スコーカー)の一例(カロッツェリア・TS-S1000RS)。
  • ミッドレンジ(スコーカー)の一例(カロッツェリア・TS-S1000RS)。

クルマの中でより良いサウンドを楽しもうと“スピーカー交換”を行ったドライバー諸氏に、次の一手をさまざま紹介してきた当特集。今回はその最終回として“フロント3ウェイ”をクローズアップし、メリットから実践方法までを詳細に解説していく。

なお当特集は、毎回全国の有名“カーオーディオ・プロショップ”に協力を仰ぎ、記事を製作している。今回は福岡県北九州市の人気店、“施音人工房(さうんどこうぼう)”の谷口さんに講師役をお願いした。参考になる話がたくさん聴けた。じっくりとお読みいただきたい。

2ウェイにも3ウェイにも、それぞれに魅力アリ!

最初に“フロント3ウェイ”のメリットから教えてもらった。

「情報量が増えることが最大のメリットだと思います。主要な楽器の音が含まれている中音を専用スピーカーで再生できますから。そしてツイーターもミッドウーファーも担当帯域が狭まって負担が減り、より効率的に仕事を行えるようになります。このことも音に効いてきます。特に影響が大きいのはミッドウーファーです。2ウェイの場合ミッドウーファーは幅広い帯域の再生を受け持ちますが、3ウェイでは得意な低音再生に専念できます。結果、低音の再生力も上がります。

また、デッドニングがしやすくなることも利点です。鉄板を共振させる帯域も狭まりますから、対処がしやすくなるんです。

そして、ミッドレンジ(スコーカー)は大体、Aピラーやドアの上部に取り付けられることになりますが、そうすることで中音が高い位置から聴こえてきます。このことも、情報量の増大に寄与します。

しかし、フロント3ウェイはいろいろとハードルが上がります。音の出どころが増える分だけサウンドチューニングの難易度も上がりますし、インストールの手間も増えます。対して2ウェイは、サウンドの一体感が出しやすくインストールの手間も少なくてすみます。

というわけで、2ウェイと3ウェイにはそれぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれに、それでなければ見えない世界があると思うんです。どちらが良いというものではないと思います。しかし2ウェイに限界を感じたときには、3ウェイが選択肢として浮上してきます」

追加するミッドレンジは、“音”で選ぶベシ!

続いては、実践方法を教えてもらった。まずは選び方から訊いてみた。

「初めての“スピーカー交換”で選ばれるスピーカーは、エントリーからミドルグレードである場合が多いと思います。となると、ミッドレンジがラインナップされていることは少ないですよね。

なのでミッドレンジは他のグレード、または他のブランドの製品の中から選ぶことになるわけですが、ポイントとなるのは音の傾向だと思います。お使いの2ウェイスピーカーと音の方向性が合うモデルを選びたいですね。しかしミッドレンジだけを試聴するのも難しいので、ショップに推薦してもらうのが良いのではないでしょうか。スペックや振動板の素材等も多少は参考にしながら、いろいろな製品の音を聴いて知っているプロの話に耳を傾けるのが製品選びの早道だと思います。

なおそのときは、少々グレードの高いモデルを選んでおくと良いかもしれません。後から2ウェイスピーカーをグレードアップしたときにもそのミッドレンジは長く使えますから。

ところでインストールの難易度が上がると言いましたが、手軽な取り付け方が行えないわけではありません。ミッドレンジ用のバックチャンバーと土台を製作すれば、ダッシュボードの上にポンと置くような取り付け方も可能になります。大がかりな改造が伴うと決めつける必要はないと思います。

なおミッドレンジの取り付け場所は、車両形状による都合でおおよその位置が決定することが多いです。場所によっての有利不利ももちろん大きいのですが最低限向きと角度決めにはこだわりたいですね。使用するモデルによって美味しい音の出る角度、そして車種ごとの状況によってバランス良く鳴らせる角度が異なってきますので。ちなみに当店では、仮固定をして音を聴きながら角度を決めていきます」

パワーアンプ内臓DSPを用いると、より手軽に3ウェイを制御できる!

システムの構築法についても訊いてみた。

「できればDSPは導入したいところです。3ウェイは、詳細なサウンドチューニングを行ってしっかりとコントロールした方が良いですから。

ベストなのは、単体DSPを用いてお好きな外部パワーアンプを選んでシステムを構築していくことですが、“スピーカー交換”からの次の一手としては大掛かりになってしまいますので、現実的にはパワーアンプ内蔵DSPを導入するのが良いと思います。最近はリーズナブルな良品が増えていますから。

ちなみに『ダイヤトーンサウンドナビ』なら、パッシブクロスオーバーネットワークを用いつつも3ウェイの各スピーカーを詳細にコントロールできます。なのでもしもナビを換えるタイミングにあるのでしたら、この際『ダイヤトーンサウンドナビ』を導入するというのはアリだと思います。

あと、ミッドウーファーの“アウター化”はできるのであれば行った方が音的には有利なのですが、必ずしも行わなくても良いと思います。3ウェイにしてミッドウーファーの担当帯域が狭くなる分、インナーで鳴らしても制御がしやすくなりますし。

フロント3ウェイはハードルの高いスピーカーレイアウトですが、システムアップを考えるときには3ウェイというアプローチがあることも思い出してください。やってみる価値は高いと思います」

いきなりの3ウェイ化は簡単ではなさそうだが、これも1つの楽しみかの形であることもまた確かだ。興味があれば、いつかはトライを♪

《太田祥三》

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