日本もハイパワー急速充電器の時代に…CHAdeMO3.0/ChaoJi規格の共同発表の意義

ChaJi/CHAdeMO3.0共同発表会
  • ChaJi/CHAdeMO3.0共同発表会
  • 現在の充電規格
  • 現在各規格のコネクタ
  • ChaoJiまでの経緯
  • ChaoJiのロードマップ
  • 液冷ケーブルで大容量ながら細いケーブルを実現
  • ChaoJiの後方互換性

現在、EVの充電器の主な規格は、日本のCHAdeMO、EUと北米のCCS(Combo)、中国のGB/Tの3種類。これにテスラのスーパーチャージャー(SC)を加えると4種類。コネクタの形状でえば、CCSがEUと北米で異なるため5種類あることになる。

各国でEVの普及が叫ばれる中、国や地域、ステークホルダーごとの思惑があり統一は困難とされている。各国の家庭用交流電源の電圧、プラグ形状をみても完全な統一は不可能かもしれない。だが、グローバル市場を相手にするOEMや充電器ベンダーは、国や地域ごとの製品ラインナップをそろえるのは避けたいはずだ。

テスラのように自前で充電網まで整備するメーカー以外は、市場によって充電モジュールやプラグを変更したり、独自の充電設備を用意したりするコストは無駄と思うだろう。これがEV普及の妨げにもなっている。

この動きに一石を投じようとしている動きがある。2018年に、日本のCHAdeMOと中国のChaoJiプロジェクトがお互いの規格を共同開発する覚書が交わされた。共同開発する規格は、次世代ハイパワー急速充電器に関するもので、中国側はChaoJiという名前のプロジェクトがベースとなる。これに、チャデモがCHAdeMO3.0という規格をChaoJiに合流させる形で共通化する。これにより、現行CHAdeMOとGB/TはChaoJi/CHAdeMO3.0で統一される。

そのロードマップは2020年に規格の最終確定。21年には対応充電器や車両の試作と実証実験。22年に対応車両の市場投入。25年ごろに現状コネクタの生産縮小。32~35年をめどにChaoJi/CHAdeMO3.0(以下ChaoJi)への切り替えを終了させたいとしている。

ChaoJiの特徴は、トラックなど大型車両の充電にも対応する900kWという高出力。液冷ハーネスによる軽量化。既存規格との後方互換性確保。V2H対応の4つだ。高出力の充電器は原理的に充電時間を短くすることが可能だ。ChaoJiは5分の充電で走行距離400kmほどの電力を供給できるという。900kWというのは大型EVトラックなどを想定した出力だが、普通乗用車なら1台の充電器で数台同時に充電することも可能だ。

電線は、一般に表面積が大きいほど大きな電流を流すことができる。細い電線に大電流を流すと発熱・発火・断線が問題となる。そのため、高出力充電では、太線を何本も束ねて表面積を大きくする。太く重いケーブルが必要となるが、女性や力のない人にはケーブルの取り回しだけでも大仕事となる。ChaoJiはケーブルとコネクタを液冷式とするので、600Aという最大定格ながら150A相当のケーブル径で済ませている。

後方互換性とは、古い規格にも対応していることを指す。ChaoJi規格の車両は、現行のGB/TやCHAdeMOの充電器でも変換アダプタにつなぐことができる。ChaoJi規格の充電器は、現行GB/TやCHAdeMOの車両に充電はできないが、これは充電器をデュアル構成(ケーブルを2系統用意する)にすることで対応する。

ChaoJiは双方向の充電器なので、車両への充電だけでなく、車両から給電することもできる。家庭の電源や電力グリッドへの電力供給ができる(CHAdeMOは従来から対応している)。

7月には日産が『アリア』を国内市場に投入する予定だ。ホンダとマツダのEVも国内販売が期待されている。『リーフ』、アリア、テスラがそうであるように、これからのEVは車種、クラスにかかわらずバッテリーの大容量化が進んでいる。トラックやバスのEV化も進めば、ハイパワー充電器のニーズはさらに高まるだろう。

EV大国である中国と市販EVのパイオニアである日本が充電規格で歩調を合わせたことで、ChaoJiは対応車両や充電器の数ではデファクトスタンダードになる可能性がある。では、EUや北米はどうなるのだろうか。

ChaoJiプロジェクトや実証実験にはダイムラー、アウディ、コンチネンタルなど欧州勢も参加しているが、これらCCS(Combo)勢は、中国市場ではChaoJi対応とし、それ以外の国では変換アダプターやデュアルモード充電器で対応するものと思われる。日本のOEMにとっては、日中共通モデルの設定、EVプラットフォームの共通化、グローバルモデルの開発がしやすくなる。

日産は、昨年、一律の定額プランの新規契約を停止し、基本料+従量課金のZESP3を導入した。定額充電し放題のプランがなくなったことでユーザーには不評だが、長期的な視点では、充電インフラの確保、充電ビジネスの維持のために必要な措置だったともいえる。タイミングの是非はあるが、自宅で普通充電ができる環境なら、使い方しだいで料金の最適化にもつながる(外での充電が少ないなら、都度課金のほうが安く済む)。充電ビジネスが広がれば、充電やシェアリングカーによる収入が、マンションなど集合住宅での充電設備の普及につなげることができる。

これにハイパワー急速充電器が整備されれば、充電インフラの使い勝手も向上するだろう。EVの利便性や楽しさはオーナーにしかわからないかもしれないが、各国の動きに期待したい。

《中尾真二》

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