ジュネーブモーターショー 幻の出展車…栄光のネーミング復活、ロシアの名門やストラトス

aレーヴェル・ヴォルガV12クーペ(2003年)
  • aレーヴェル・ヴォルガV12クーペ(2003年)
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  • aレーヴェル・ヴォルガV12クーペ
  • aレーヴェル・ヴォルガV12クーペ
  • aレーヴェル・ヴォルガV12クーペ
  • ヴォルガGAZ-21(1967年?)
  • ビッザリーニGTS 4.4V(左)
  • ビッザリーニ5300GTストラーダ(1965年?)

2020年3月に開催予定だった第90回ジュネーブモーターショー(ジュネーブモーターショー2020)が開幕3日前に中止となったのは、すでに報じられているとおりだ。スイス連邦評議会による新型コロナウィルス感染予防の指導に主催者が従ったものだった。

本記事では、過去にジュネーブモーターショーを飾ったコンセプトカーや出展車のうち、主に新進のコーチビルダーや小規模工房による作品を振り返る。第1回は、往年のブランドネームや車名を背負って、いわば復活版を試みた車たちである。

aレーヴェル・ヴォルガ『V12クーペ』(2003年)

1957年に歴史を遡るソヴィエト車ヴォルガ『GAZ-21』をモティーフにしたワンオフ。モスクワのデザイナー&エンジニアリング集団「aレーヴェル」によって持ち込まれた。「鮫の歯」と揶揄されたラジエターグリルをはじめとする外観とは対照的に、車内はベースとなったBMW 『850CSI』の面影が色濃く残っていた。ソビエトおよびロシア車ウェブサイト「オールカーインデックス」によると、同社の活動期間は2001年から2005年とされる。

ビッザリーニ『GTS 4.4V』(2005年)

オリジナルの「ビッザリーニ」はイタリア人エンジニア、ジョット・ビッザリーニによって1964年に設立され、1969年まで存続したスポーツカー製作工房である。

ビッザリーニGTS 4.4V(左)いっぽう2005年のジュネーブで公開された『GT4.4V』は、ビッザリーニの商標を新たに取得したジョヴァンニ・マリアーニ率いるイタリア北部パヴィアの「VGMモータース」が手掛けた。エンジンはBMWアルピナのV8 4398cc+ZF製6段ATを流用していた。ただし会社は2011年に清算手続きを行った。

ルッソ-バルティーク『インプレッション・コンセプト』(2007年)

「ルッソ-バルティーク」は1869年、当時ロシア帝国領であったラトヴィアのリガに創立されたロシア最古の自動車会社に起源を遡る。ロシア皇帝の御用達メーカーでもあった。

ルッソ・バルティーク(2007年)いっぽう2007年のルッソ-バルティーク『インプレッション・コンセプト』は、ブランド復活を試みたロシア-ドイツの投資家によって計画された。実際の制作はミュンヘンのゲルグ社が担当。2006年同年4月にイタリア・コモで開催された「コンコルソ・ヴィラ・デステ」のコンセプトカー部門で、筆者は実走する姿を確認している。ベースはメルセデスベンツ『CL63AMG』で、V12ツインターボエンジンも同車のものを流用してきた。ジュネーブには2007年に展示された。当初計画では前述のゲルグ社で少数が製作され、180万ドルで販売される計画だった。

デトマゾ『ドーヴィル』(2011年)

アレハンドロ・デ・トマゾによって1959年に創始され、2004年まで存在したイタリア製スポーツカー・ブランド「デトマゾ」(デトマソ)の復活計画。

過去にフィアットや電信電話会社「テレコム・イタリア」で重役を歴任したジャン-マリオ・ロッシニョーロ(1930~)がその商標を取得。車両生産にあたっては、ピニンファリーナの旧グルリアスコ工場と、その従業員の大半を引き継ぐ計画が発表された。

デトマゾ・ドーヴィル2011年にはSUV『ドーヴィル』をジュネーブで公開。デザインはピニンファリーナによるものだった。さらに、同年春にモンテカルロで開催された「トップマーク」ショーには、試乗車も用意。筆者のインタビューに対し、会場担当者は「受注状況は順調」と答えた。

しかし、翌2012年には早くも倒産。同年7月、ロッシニョーロは計画倒産、および公的資金から支出された従業員向け職業訓練用資金750万ユーロを不正流用した疑いで逮捕された。

なお、その後2015年にデトマゾは、税務上の本社を英領ヴァージン諸島にもつ香港企業「アイデアルチーム・ヴェンチャー」に競売で落札されて現在に至っている。同社は2019年にスーパースポーツ『P72』を公開しているが、ワンオフであり、ロッシニョーロが興そうとした工場とは関連はない。

2019年2月には、トリノ地方裁判所でロッシニョーロに5年6カ月の禁固刑が下されている。

マイクロモビリティ・システムズ『ミクロリーノ』(2017年)

スイス企業「マイクロモビリティ・システムズ」が企画した街乗り用電気自動車。ジュネーブモーターショー2017でプロトタイプが公開されると、そのスタイルやカラリングから即座に「21世紀版イセッタ登場?」と欧州メディアが報じた。

マイクロモビリティ・システムズ・ミクロリーノ(2017年)翌2018年のジュネーブには、より生産型に近いモデルが展示された。生産はイタリア・イモラの協力工場が担当する。カテゴリーとしては、欧州連合のマイクロカー規格の1種「L7e」が当てはまり、各国での税制・登録は二輪に準じたものが適用される。2021年にスイスとドイツでデリバリーが開始予定とされている。

マニファットゥーラ・アウトモービリ・トリノ『ニュー・ストラトス』(2018年)

1973~78年のランチア『ストラトスHF』をモティーフに、パオロ・ガレッラ率いるイタリアのコーチビルダー「マニファットゥーラ・アウトモービリ・トリノ(MAT)」が制作。

機構的なベース車両はフェラーリ『430スクデリア』で、ホイールベースを短縮したうえ、エンジンもパワーアップを図っている。限定25台の生産を計画。なお、ジュネーブモーターショー2020には右ハンドル仕様を展示する予定であった。

アウトモービリ・トリノ・ニュー・ストラトス(2018年)ここに紹介したような少量生産の車たちは、将来欧州のヒストリックカーショーで、会期中のオークションに突然姿を現したりする可能性が充分ある。

ただし同時にいえる事実は、ここに紹介したブランドは現在進行形のミクロリーノとニュー・ストラトスを除き、ジュネーブに二度と帰ってこなかったことである。栄光のブランドネームやイメージに依存した自動車ビジネスは、かなり高いハードルであることが窺える。

コンセプトカー&エキセントリックカーマイクロカー篇

《大矢アキオ》

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