LINEのスマートシティとMaaSとは?…LINE Fukuoka株式会社 Smart City戦略室室長 南方尚喜氏[インタビュー]

LINEのスマートシティとMaaSとは?…LINE Fukuoka株式会社 Smart City戦略室室長 南方尚喜氏[インタビュー]
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LINE、Facebook、Twitter、WeChat、WhatsApp。モビリティサービスに切っても切れないものになりつつあるのがスマートフォンとコミュニケーションツールだ。

どのような進化を遂げつつあるのか。福岡で福岡市などとスマートシティの事業を展開しているLINE Fukuoka Smart City戦略室室長南方尚喜氏に聞いた。

南方氏は 1月27日開催セミナー「CES2020と自動車市場」に登壇します。

日本における第二拠点として

---: LINE Fukuokaとは?

LINEは2011年の東日本大震災をきっかけに誕生したサービスです。日本の東京をグローバルのヘッドクオーターとしており、LINE Fukuokaは日本国内での第二拠点です。

社員は福岡出身者が68%、Uターン者が6%、Iターン者が16%、グローバルIターン者が10%です。LINE Fukuokaが担う役割は、主に開発・クリエイティブ・運営・事業企画の4つです。
事業企画の中にSmart City戦略室があります。私が入社したのが2018年1月で、かねてから福岡市がAIやFintechなどの技術を活用した行政サービスに注力しようとしていた背景もあり、福岡に根ざした企業として地域貢献をしたいとの想いから徐々に協業の機会を増やしていきました。 そして2018年8月に「地域協働事業に関する包括連携協定」を締結し、以降本格的に福岡市のスマートシティ化をサポートする各種の取り組みを実施しています。

Smart City戦略室では多様な人材が活躍しています。スタッフは約15名で、新サービスの企画・開発・PR・データ分析、それぞれの担当が全員同じチーム内におり、一気通貫でのサービス開発を可能にしています。

主体者は福岡市民

---: LINE Fukuokaが考えるスマートシティとは?

南方氏:コンセプトとして大切にしていることは、「市民参加型である」ということです。
日本国内で1日に1回以上LINEを活用するユーザーは、実に約7,000万人以上にのぼります。そんな「いつも使っているLINE」だからこその手軽さで、市民が自ら主体的に行政サービスを受けたり、まちづくりに参画できたりする状態を目指しています。

例えば、福岡市の燃えないゴミの回収日は月に1回しかありません。ゴミの日やゴミの分別方法が分からず、市役所に問い合わせることを面倒に感じたり、間違った出し方をしてしまうリスクがありました。他にも、道路標識や公園の遊具が破損しているのを市民が発見しても、通報の方法がわからないので放置されてしまうケースがあり、かねてより行政側の悩みの種でした。
これらは一例に過ぎませんが、市民側・行政側がそれぞれに抱えているこうした課題をLINEの技術を使って解決し、市民と行政が一緒になってより良いまちづくりができる状態を目指しています。具体的には、市民がLINEを介して簡単に欲しい情報を手に入れられたり(福岡市LINE公式アカウント)、行政に情報を伝えたりできる仕組み(道路公園等通報システム)を提供しています。

LINE公式アカウントが市のHP代わりに?!

---: 福岡市LINE公式アカウントの登録者数は?

南方氏:福岡市LINE公式アカウントの友だち登録者数は約164万人に上り、国内自治体の中では最多と言われています(福岡市民: 約159万人)。多くの市民の方々に、暮らしに関する情報の取得や行政手続きを利用いただいています。

ちなみに中国の一部の自治体では、市がホームページを持たず、代わりにメッセージアプリ「WeChat」の公式アカウントのみを市民向けに展開しています。

このように、メッセージアプリの公式アカウントが自治体と住民をつなぐ架け橋になる事例は今後も増えていくと思います。

キャッシュレス決済+コミュニケーション+モビリティ

---: MaaSに関連して力を入れていることは?

南方氏:2019年6月に福岡で開催されたG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議に合わせて、会議関係者や海外メディア関係者を対象にG20 FUKUOKAのLINE公式アカウントを限定公開しました。

このアカウントの目玉は、「キャッシュレス決済+コミュニケーション」機能です。

はじめにユーザーの国籍や興味関心事などの情報を入力すると、そのユーザーの嗜好に合わせて、「検索いらずで観光地やお店を知る」「通訳いらずで商品を注文する」「財布いらずで支払いをする」という一連の観光体験がスムーズにできます。

観光地や飲食店の情報は、国籍別人気施設のビッグデータをもとにしているので、ユーザーのニーズに合わせた最適な提案をすることが可能です。

いずれはこのサービスに、ルート案内や移動手段の提案も絡めていきたいと思っています。

--- : 福岡では公共交通もLINE Payで決済できますね?

南方氏:現在、福岡市地下鉄の各種乗車券や定期券、フェリーの切符などが購入できます。
あらかじめルートが決まっている乗車券や切符の事前購入手続きと相性が良いサービスなので、今後も可能性を広げていきたいと考えています。

台湾からの旅行者をターゲットに

---:LINEはどの国の利用が多いのですか?

南方氏:LINEは、日本以外では台湾、タイ、インドネシアのユーザーが多いです。2019年9月末時点の主要4か国(日本・台湾・タイ・インドネシア)の月間アクティブユーザー数は約1億6,400万人で、うち日本が8,200万人で一番多いです。しかし日本以外の国も、例えば台湾では、日本よりもLINEが日常生活に浸透していると言われています。決済のキャッシュレス化についても日本以上に政府が積極的です。
そこでLINEのサービスも台湾のユーザーのニーズに合わせて展開、日々進化しています。街中いたるところでLINE Payでの決済が可能ですし、台湾版のLINEトラベルは同じLINE グループの私たちから見ても魅力的です。

そんな感じでLINEのサービスとも親和性が高く、物理的な距離も近いので、福岡市、LINE Fukuokaが台北市と連携して観光体験を、LINEを使って活性化させようと計画中です。

2021年の世界水泳

---:目標となっているイベントはありますか?

南方氏:福岡では2021年の世界水泳が、次なるマイルストーンとなっています。世界各国から約50万人の観客が見込まれています。私たちも、LINEならではの手法で、新しい観光体験を提供できるよう企画検討を進めています。

モビリティサービスとLINE

---: LINEが苦手な人もいますね。情報の扱いなどが心配で怖いと感じる人もいます。

南方氏:私自身、なかなかLINEを使わなかったタイプです。

入社してみて分かったことは、想像していた以上に情報の取り扱いを徹底していることでした。だからこそ、行政サービスやモビリティサービスを自信を持って企画していますし、ユーザーの方々にも安心して利用していただきたいです。

---:モビリティサービスとLINEの相性は?

南方氏: モビリティサービスとLINEの相性は非常に良いと思っています。LINEをプラットフォームとして利用すれば開発コストを抑えることができます。また、モビリティサービスを提供する多くの会社で課題と捉えられている「アプリのダウンロードの手間がネックになってユーザー数が伸びない」という問題へも、すでに多くのユーザーを抱えているLINEであれば対応が可能です。LINE上での決済手続きも提供できますのでユーザーの利便性も高いと思います。もちろん、既存のアプリに対しても、LINEはバイパスの役割を果たすことができます。

今後はモビリティサービスのスマート化にもより一層注力し、LINEを日常的に利用する日本・台湾・タイなどの方々が、今まで行かなかった場所に行ったり、食べなかったものを食べたり、といった+One Actionを生み出す施策を企画して行きたいと考えています。

南方氏が登壇するセミナーは、こちら 1月27日開催セミナー「CES2020と自動車市場」

《楠田悦子》

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