JR北海道は4月9日、「JR北海道グループ長期経営ビジョン・中期経営計画・事業計画等」を発表した。
長期経営ビジョンは、国からの監督命令に基づき、.北海道新幹線の札幌開業を機に経営自立を目指すとする、2031年度までの長期計画を策定したもの。
これによると、2031年度までは約210億円の減益要素を見込んでいるものの、鉄道事業では札幌圏での増収、維持困難線区への対応、資材調達コストや工事費などの削減、業務の効率化などを図る一方、札幌駅新幹線口の新タワービル建設やホテルなど関連事業を推進し、約190億円の収支改善を図るとしている。
鉄道事業では、北海道新幹線で320km/h走行による東京~札幌間4時間30分に挑戦するとしており、貨物列車と線路を共用している青函トンネル内の問題などを抜本的に解決したいとしている。
札幌圏では新千歳空港アクセスを一層強化し、快速『エアポート』では、2020年春のダイヤ改正では毎時5本化、2023~2024年度にクロスシートの721系電車をロングシートの733系電車にすべて置換え、定員増を図るとしている。
このほか、鉄道設備監視の自動化、「高精度測位を活用した無線通信列車制御」による地上設備の簡素化、線路設備モニタリングシステムや車両検修業務の刷新に伴なう苗穂工場の建替え、運賃・料金決済のキャッシュレス、チケットレス化などを図るとしている。
一方、2023年度までの中期経営計画では、2020年度までの北海道新幹線のさらなる高速化、2023年春に予定しているプロ野球・北海道日本ハムファイターズの本拠地移転に伴なう千歳線北広島駅の改修や新駅の検討、快速『エアポート』の7両化、新千歳空港駅のスルー化の検討などを行なうとしている。
観光列車の取り組みも開始し、他社車両による運行や多目的車両の新造のほか、札幌~函館間を毎年9月を中心に小樽・倶知安経由で運行している臨時特急『ニセコ』の運行期間を拡大することを検討するとしている。
このほか、2022年度までに函館~札幌間の特急『北斗』をすべて261系化、2019年度にQRコードによる乗車券類の発売を実施。駅での切符の購入を不要とするチケットレスサービスを検討するとしている。
コストの削減も図られ、2018年12月以降順次導入されている「話せる券売機」ことアシストマルスの拡大、2両編成のワンマン電車新製の検討、分岐器検査装置の導入、貨物列車走行線区におけるコスト削減の検討などを行なうとしており、北海道新幹線では青函共用区間で2020年度までにロングレール運搬車を導入、トンネル検査車などによる検査業務の機械化、車両着雪除去作業の省略化の検討などを行なうとしている。