ヤマハ発動機、無人ヘリの制御装置開発で文部科学大臣表彰受賞 農業や災害対応などに貢献

姿勢制御・速度制御システムを搭載した 「RMAX Type II G」(2003年発売)
  • 姿勢制御・速度制御システムを搭載した 「RMAX Type II G」(2003年発売)
  • 西之島火山の噴火観測の様子 (2015年撮影)

ヤマハ発動機は4月9日、同社の技術者ら4名が「産業用無人ヘリコプタの制御装置の開発」で、文部科学大臣表彰 科学技術賞開発部門を受賞することとなったと発表した。

文部科学大臣表彰は、日本の社会経済、国民生活の発展向上等に寄与する画期的な研究開発もしくは発明であって、現に利活用されているものを行った個人もしくはグループまたはこれらの者を育成した個人を対象とするもの。

今回の表彰では、無人ヘリの姿勢制御装置や自律制御システムの開発により、世界に先駆けて農業や災害対応などの分野でその活用が実現できた点が高く評価された。

1980年代後半に販売開始された無人ヘリは、農薬散布作業の効率向上に貢献できた一方で、操縦を容易にする飛行制御装置の開発が望まれていた。姿勢制御装置と速度制御装置が開発されたことで無人ヘリの操縦安定性が高まり、初心者でも安心して散布作業ができるようになり、農業用の無人ヘリの普及拡大が進んだ。

また、農業用の無人ヘリが発売されると、火山観測などの分野でも無人ヘリ利用の期待が高まりはじめたが、可視外の長距離を飛行するために必要な自律的な飛行制御システムは実現されていなかった。あらかじめ定められたルートを自動飛行できる技術開発が実現したことで、国内各地で発生する火山をはじめとする災害観測分野でも活用できるようになった。

今回の受賞は、ヤマハ発動機 ソリューション事業本部ロボティクス事業部UMS統括部長の中村克氏、静岡理工科大学の佐藤彰教授、京都大学大学院の中西弘明講師、アイエスの大川宏久社長との共同受賞。

中村氏は今回の受賞について、「長年取り組んで来た無人ヘリの技術開発が、農作業に従事する方々をはじめ多くの皆様に貢献できたことを非常に誇りに感じます。この表彰を機により一層当社の無人機技術の開発を強化し、農業やさまざまな社会課題の解決に貢献できるよう取り組んで行きたいと考えています」とコメントしている。

《纐纈敏也@DAYS》

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