ヤマハ発動機、4輪乗用車の事業化を凍結…日高社長「課題解決難しい」

ヤマハ発動機が4輪乗用車の事業化を凍結。写真は東京モーターショー15で発表した「スポーツライド コンセプト」
  • ヤマハ発動機が4輪乗用車の事業化を凍結。写真は東京モーターショー15で発表した「スポーツライド コンセプト」
  • 2017年の東京モーターショーにも出展した4輪の「クロスハブコンセプト」(右)
  • ヤマハ発動機の日高祥博社長
  • ゴルフカート
  • ROV(レクリエーショナル・オフ・ハイウェイ・ビークル、4輪バギー)

ヤマハ発動機は12月11日、新中期経営計画(2019~21年)を発表した。その質疑応答で、日高祥博社長は2013年に柳弘之会長(当時社長)が表明した乗用車市場への参入を凍結することを明らかにした。

「今進めている中計で事業化を含めて検討してきたが、量産するのにクリアしなければならない課題の解決が難しそうだった。もうひとつがどういう地域でどういうクルマを出すかをいろいろシミュレーションしたが、投資が大きくて回収するのが難しいということで、つい最近、普通乗用車の領域に事業として出ていくのを一旦フリーズした」と日高社長は無念そうに話す。

ただ、ゴルフカートやROVなど、4つのタイヤがついた新しいモビリティの開発は引き続き行っていくそうだ。新中期経営計画でも、低コストなラスト1マイルの移動ソリューションとして、ゴルフカートを活用した自動運転可能な電動小型低速車両の開発をあげている。高齢者や過疎地域の移動システムとして提供していく計画だ。

「新中期経営計画でわれわれが注力する領域は3つだ。1つ目はトランスフォーミング・モビリティ(変革するモビリティ)、2つ目がリシンキング・ソリューション(ヤマハらしいソリューション)、3つ目がアドバンシング・ロボティクス(ロボティクスの活用による知的技術)で、これらの領域を2030年に向けて強化していく」と日高社長。

既存領域では、現在ある製品と新しい技術との融合でその市場を広げていく。新技術の領域では、モビリティの電動化やシェアリング、そしてマリンのサプライヤー戦略を推進していく。必要であれば協業や共創を積極的に行っていくそうだ。

また、同社が持っている技術の組み合わせで新たな価値をつくり、新市場を開拓していく。その市場として、日高社長があげたのが農業、医療、自動運転の分野で、積極的にファンドやM&Aも活用し、自社の枠にとらわれない技術の獲得やこれまでにないような成長を目指すという。そのために、11月に運用総額1億ドルの自社ファンドを設立した。

売上比率の一番高い二輪事業については、強みを持つアセアンで中間層の取り込みを図り、出遅れているインドでブランドと収益基盤の再構築を進め、それぞれ年間120万台の販売を目指す。営業赤字の先進国では、生産網の見直しなどの構造改革を行って黒字転換を果たす。国内の生産規模は20万台から16万台体制へとスリム化する方針だ。

こうした事業計画の元、2021年度には売上高2兆円、営業利益1800億円を目指す。この数字は現在進めている中計で掲げたものと同じだ。しかし、未達に終わる可能性が高いので、リベンジということになる。それが果たせるのか、今年1月に就任した日高社長の手腕が試される3年となる。

《山田清志》

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