JR西日本とJR九州は、11月28日に開催された「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム」(与党整備新幹線建設推進PT)を受けて、財務省が主張している整備新幹線の線路使用料(いわゆる「貸付料」)増額に難色を示した。
11月30日に開催された国土交通大臣の会見によると、今回のPTでは、2022年度末の開業を目指す北陸新幹線金沢~敦賀間、2022年度中の開業を目指す九州新幹線西九州ルート武雄温泉~長崎間において建設費が高騰していることから、国土交通省では2019年度予算の概算要求において、整備新幹線関連では例年の755億円とは別に、予算要求額を明示せずに項目だけを示す「事項要求」を行なっていることが報告されている。
国が推進する整備新幹線の建設では、その負担割合を国が3分の2、沿線の地方公共団体が3分の1とする基本財源スキームが構築されている。このスキームは「第2の国鉄を生まない」とする考えから、JRは受益の範囲を超えない貸付料を払うことになっているが、建設費高騰に伴なう貸付料の増額はそのことに懸念材料を与えることにもなりかねないだけに、JR西日本、JR九州とともに「整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり、受け入れられない」として難色を示している。
これに対してPT側では、「貸付料が建設費の多寡と連動するものでないというJRの意見は理解できる」「建設費の増加の多くが外的要因によるものであり、国費でしっかり対応すべき」という意見があり、石井啓一国土交通大臣は「貸付料の原則に照らし、様々検討を要する論点」があるとした上で、必要となる安定的財源確保に向け検討を進めていく考えであると述べている。
一方で、JR西日本の来島達夫社長は「今のものが全てだと思っていない」と述べ、北陸新幹線新大阪早期開業を要望している立場から、今後着工する整備新幹線区間を念頭にした貸付料の増額を容認する可能性を示唆している。