札幌圏や石勝線系統では収支改善、新幹線では営業損益が悪化 JR北海道の2017年度収支

収支は札幌圏で約30億円の改善、北海道新幹線は約45億の悪化

鉄道事業で551億3400万円の赤字、輸送密度増加は24線区中8線区

計上方法を見直し

石狩湾沿いの函館本線朝里~小樽築港間を行く小樽行き快速『エアポート』。札幌~小樽間は2017年度もJR北海道の輸送密度ナンバー1となったが、伸び率では千歳線・室蘭本線白石~苫小牧間が上回った。
  • 石狩湾沿いの函館本線朝里~小樽築港間を行く小樽行き快速『エアポート』。札幌~小樽間は2017年度もJR北海道の輸送密度ナンバー1となったが、伸び率では千歳線・室蘭本線白石~苫小牧間が上回った。
  • 2017年度は45億円近く赤字が拡大した北海道新幹線。輸送密度の落ち込みに加えて、青函トンネルのメンテナンス費用なども重くのしかかった。

JR北海道は11月9日、2017年度の線区別収支状況と利用状況を発表した。

収支は札幌圏で約30億円の改善、北海道新幹線は約45億の悪化

2017年度は、2016年8月の台風被害の影響で長期運休に追い込まれた札幌~帯広・釧路間の特急が再開したことにより、石勝線を含む南千歳~帯広間の1日あたりの輸送密度(旅客営業キロ1kmあたり1日平均旅客輸送人員)が363人増加して3567人、営業収益が10億7400万円増加して55億8700万円。営業費用も増加したものの、営業損益は9700万円改善した33億1000万円の赤字になった。

また、札幌圏では、快速『エアポート』などで好調なインバウンド需要に支えられたこともあって、営業収益が14億0500万円増加の420億7400万円。各方面での輸送密度向上や、快速『エアポート』用に増備した733系電車の減価償却費の減少も手伝って、営業損益は24億9200万円の赤字ながら29億7500万円改善した。

一方で、北海道新幹線は1日あたりの輸送密度が1128人減少し4510人となり、JR北海道最多を誇る函館本線札幌~小樽間の1割にも満たない状況に陥っている。営業収益も19億7400万円減少し96億7900万円に、車両検査の本格化や青函トンネルのメンテナンス費用などの営業費用を加味すると、営業損益は44億7100万円悪化し98億7700万円の赤字になった。

鉄道事業で551億3400万円の赤字、輸送密度増加は24線区中8線区

「当社単独では維持することが困難な線区」については、輸送密度が200人未満の線区のうち、札沼線北海道医療大学~新十津川間が9人減の57人に。次いで根室本線富良野~新得間が14人減の92人、留萌本線(深川~留萌)が71人減の157人となっている。留萌本線の大幅減が目立つが、2016年度は12月の留萌~増毛間廃止に伴なう増加分があったためだ。

逆に最も輸送密度が高かった線区は、函館本線小樽~札幌間で733人増の4万6793人に。次いで千歳線・室蘭本線白石~苫小牧間が4万6076人となっているが、増加数では同区間が1224人とトップになっている。札幌圏全体では15万人以上もの輸送密度を誇っており、29億7500万円の収支改善により、営業損益は50億円台の赤字から20億円台の赤字にまで改善されている。しかし、JR北海道全体では25億5800万円の営業損益悪化、551億3400万円の赤字となっており、鉄道事業の深刻度を物語っている。

今回発表された新幹線を含む24線区のうち、輸送密度が前年度を上回っているのはわずか8線区に過ぎないが、そのなかにあって、北海道新幹線札幌延伸時に並行在来線となり、その去就が注目されている函館本線長万部~小樽間が6人、根室本線滝川~富良野間が44人、富良野線(旭川~富良野)が110人それぞれ増加しているのが注目される。

計上方法を見直し

JR北海道は2017年度の収支計上に際しては、線区別の状況をより実態に近づけるため計上方法を大幅に見直したとしている。訪日外国人観光客向けの企画切符「北海道レールパス」と大人の休日倶楽部会員向けに発売している「大人の休日倶楽部パス」については、これまで一定の利用区間を推定することにより線区別の収入を割り出していたが、これを利用実態を調査した結果を踏まえた方法に変更。車両に対する減価償却費については「特急型気動車」「一般型気動車」といった大まかな区分ではなく、「261系」「183系」といった系列ごとの区分とし、可能な限り走行区間に応じて計上するようにしたという。

2018年度第2四半期の決算も同時に発表されているが、台風21号や北海道胆振東部地震といった自然災害が頻発したことにより、通期で鉄道運輸収入の17億円減、鉄道施設の復旧費用6億円が見込まれるとし、「今年度の連結通期業績予想は最終利益を35億円下方修正した175億円の赤字にせざるを得ない状況」という見通しを示している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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