JR東日本は7月3日、「線路設備モニタリング装置」を本格導入すると発表した。
これは在来線で運行している営業用車両の床下に「軌道変位モニタリング装置」と「軌道材料モニタリング装置」を設置し、線路の状態を遠隔操作で監視するもの。
このうち、「軌道変位モニタリング装置」は、レーザーをレールへ照射することで線路のゆがみを測定するもので、そのデータは無線により保線技術センターへ送られる。
無人で測定することから、待避線に入った時や折返し運転時にも位置を正確に検知。測定したデータのうち、最も品質が高いものを選び出すこともできるという。
一方、「軌道材料モニタリング装置」は「プロファイルカメラ」と呼ばれる距離を測定するカメラと、「ラインセンサーカメラ」と呼ばれる濃淡を識別するカメラにより、レールと枕木を固定している「レール締結装置」と呼ばれる金具や、レールを繋ぐ「継目板ボルト」の状態を撮影するもの。
最高速度130km/hで走行していても、枕木の状態を正確に把握できる画像を撮影するほか、レール締結装置や継目板ボルトの不具合を自動で判定することもできるという。
JR東日本では、これらを活用することで、ビッグデータ分析に基づいて、状態を把握して最適な時期に補修を行うメンテナンス手法を図れるとしており、徒歩による線路点検作業の効率化やタイムリーな補修作業、走行状態で線路補修結果の評価ができるようになるという。
線路設備モニタリング装置はすでに首都圏の大半の線区に導入されているが、今回は2020年度までに、「軌道変位モニタリング装置」39台、「軌道材料モニタリング装置」36台を50線区に導入する予定としており、JR東日本の線路延長のうち7割をカバーするという。
なお、新幹線車両に対しては、すでにJR東海が東海道新幹線の確認試験車N700Sに「軌道状態監視システム」と呼ばれる類似のシステムを搭載している。