熊本県の南阿蘇鉄道が全線復旧に着工---国の新支援制度を初適用

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立野~長陽間にある犀角山トンネルの現在。内部に激しい亀裂が起こっている。
  • 立野~長陽間にある犀角山トンネルの現在。内部に激しい亀裂が起こっている。
2016年4月14日に発生した熊本地震により、現在も高森線立野(たての)~中松(なかまつ)間が不通となっている熊本県の南阿蘇鉄道は3月6日、同区間の災害復旧工事に着手したことを明らかにした。

高森線は、2016年7月31日に中松~高森間が復旧したものの、立野~中松間では土砂流入や鉄道施設の損傷被害が甚大で、2016年の段階では復旧の見込みが立っていなかった。

2017年4月に国土交通省から発表された、南阿蘇鉄道の災害復旧調査結果では、線路設備や軌道の修復等に最大で5年の工期を要し、総工費は65億~70億円になると試算されていた。

これを受けて政府は、同年12月、大規模災害復興法で定義する特定大規模災害で被災した鉄道事業者に対して、復旧費用の大半を補助する新制度を創設する方針を固め、南阿蘇鉄道への支援を2017年度の補正予算案と2018年度の当初予算案に盛り込んだ。

これまで鉄道事業者の災害復旧に際しては、鉄道軌道整備法が適用され、費用を国・沿線自治体と鉄道事業者が半分ずつを負担することになっていたが、新制度では国と沿線自治体が半分ずつを負担し、鉄道事業者の負担を免除。沿線自治体負担分については、地方交付税の交付措置により、実質的に国が97.5%、自治体が残りの2.5%を負担することになった。

ただし、この新制度の適用には、直近3期の事業収支が赤字で運輸収入が復旧費を下回っていること、長期的な運行を確保する計画を策定すること、復旧後に自治体などが施設を保有する上下分離方式を導入することが条件となっている。

こうした支援策により南阿蘇鉄道の全線復旧は前進することになり、3月3日には立野~長陽(ちょうよう)間の犀角山(さいかくやま)工区で安全祈願祭と着工式を挙行。南阿蘇鉄道では、復旧工事開始を受けて「熊本地震からの復旧により復興のシンボルとなるよう頑張って参ります」としている。
《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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