外部パワーアンプを使いこなす…利点を知ろう

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「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第1回「利点を知ろう」
  • 「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第1回「利点を知ろう」

先月は「スピーカー交換」をおすすめする短期集中連載をお贈りしたが、それに引き続き今月は、「外部パワーアンプ」の導入を強力におすすめする特集を展開していく。スピーカーを換えた後に「外部パワーアンプ」をシステムに組み込むと、音質を一層向上させられるからだ。

第1回目となる今回は、「外部パワーアンプ」を導入することで得られる利点について解説していく。

■メインユニットの「内臓パワーアンプ」には、能力的な限界がある…。

カーオーディオシステムには、「パワーアンプ」が必ず必要だ。CDやSDカードから読み取った音楽信号を、スピーカーを駆動できるところまで増幅する必要があるからだ。であるので、純正メインユニットにも、市販AV一体型ナビにも必ず、「パワーアンプ」が内蔵されている。

しかし、メインユニットの「内蔵パワーアンプ」は残念ながら、市販の「外部パワーアンプ」と比べて、能力的な限界値が低い。まず決定的に違うのは、“パワー”だ。スピーカーを動かす力が小さいのである。

筐体の大きさを考えれば、納得していただけると思う。ナビであれば純正品も市販品も大きさは大体2DINくらいだが、その大きさのボディの中には、ナビ回路やモニター、CD/DVDメカ等々、いろいろなものが詰め込まれている。従って「パワーアンプ」に割けるスペースも多くない。サイズが小さくなれば、パワーの限界値も低くなる。

ちなみに、市販のカーオーディオメインユニットやAV一体型ナビの「パワーアンプ」の出力はどのくらいなのかと言うと…。カタログを見ると、「最大出力50W」という表示になっているものがほとんどだ(一部、それよりも3から5W低い値になっているものもある)。つまり、メインユニットに内蔵できるパワーアンプの出力は、どう工夫しても「最大出力50W」が限界、というわけなのだ(近年、Dクラスアンプを内蔵して、最大出力100Wを発揮できる機種があったが、現在は生産終了している)。

■「パワーアンプ」は出力が大きいほど余裕を持って音楽を再生可能。

ところで。パワーアンプの出力表示には2種類があることをご存知だろうか。1つが「最大出力」でもう1つが「定格出力」だ。この2つは同じように見えて、まったく異なる意味合いのスペックである。前者は瞬間的に発揮できるパワーのことを指し、後者は、設定された条件の中で連続的に取り出せるパワーのことを指している。であるので、機種間で出力を比べる際には、「最大出力」同士、もしくは「定格出力」同士で比較すべきだ。

ところが、市販の「外部パワーアンプ」のカタログをみると、「定格出力」だけしか表示されていない場合が結構多い。逆にメインユニットやAV一体型ナビのカタログでは、「定格出力」が表示されないことが結構ある。

では、「最大出力50W」というスペックは、「定格出力」に置き換えるとどのくらいの数字になるのだろうか。最近は「定格出力」も表示される機種が増えてきたのでそれらを見ると、15Wから30Wの範囲に収まっている。平均的なところでは20Wくらい、と考えて良さそうだ。

対して、市販「外部パワーアンプ」のスペックをみると、もっとも非力なタイプでも、定格出力は50W程度は確保されている場合が多い。100W、150Wクラスのモデルもざらにある。

このパワーの違いは、結構音に影響する。パワーが性能のすべてではないが、20Wと50Wでは余裕が全然違う。音楽は瞬間瞬間で音量が相当に変わるのだが、パワーがあると瞬間的に大きな音が鳴ったときにも余裕で対応できる。しかしパワーが小さい場合には、大音良で聴いているときなどは常に目一杯の仕事をしているので、瞬間瞬間の音量の変化にスムーズに対応しきれない。

なので、「パワーアンプ」は力が大きいほうが音質的には有利だ。市販の「外部パワーアンプ」同士を比べるときには、パワー差よりもその他の部分の差のほうが音に影響してくるが、20Wと50Wの違いは大きい。ましてや100W、150Wのモデルと比べたら、別モノと言っていいほどの開きとなる。つまり、メインユニットの「内蔵パワーアンプ」には多くを望みにくい、というわけなのだ。

■より上級の「外部パワーアンプ」を使えば、良さがさらに伸長していく。

メインユニットの「内蔵パワーアンプ」と市販の「外部パワーアンプ」との違いは、出力の大きさだけにとどまらない。回路を構成する各パーツのクオリティも異なっている。結果、音の解像度や情報量、そしてノイズの少なさといった性能も異なっている。

価格を考えたら、すんなりとご理解いただけると思う。例えば2万円のメインユニットの「内臓パワーアンプ」と、2万円の「外部パワーアンプ」を比べてみると…。メインユニットのほうは、限られたコストの中でCDメカやラジオチューナー、コントロール機能等々までをまかなわなければならないのに対して、「外部パワーアンプ」のほうはそのコストの多くをを「パワーアンプ」機能に注ぎ込める。

それがさらに5万円、10万円と製品のランクが上がっていけば、サウンドクオリティは劇的に向上していく。そもそもパワーが違うところに、音の素性も上がっていくので、上級モデルになればなるほど、「内蔵パワーアンプ」とは別次元の音世界を堪能させてくれるようになる。

ただし、お使いのメインユニットが“ハイエンド”タイプであると、状況は少々異なってくる。そういった製品においては「内蔵パワーアンプ」にもしっかりとコストがかけられている。「定格出力」こそは通常のメインユニットと同様ながら、音の素性に関しては、なかなかに高くなっている。

であるので、ハイエンド機を使っている場合には、「外部パワーアンプ」を導入しようと考えたとき、ある程度上級モデルを選びたい。そうすることで、ハイエンドメインユニットの実力が、さらに引き出されることとなる。

つまり、ハイエンドメインユニットを持っているということは、ハイエンドカーオーディオを楽しみ尽くす権利を得ている、ということだと考えよう。「外部パワーアンプ」を用意する際には、予算の許す範囲でできるだけ上級なモデルを選び、とことんHi-Fiサウンドを探究したほうがより楽しめる。

さて次回は、「外部パワーアンプ」のタイプ違いについて解説していく。ひと口に「外部パワーアンプ」と言っても、いろいろなタイプがある。そこのところを詳しく解説していく。お楽しみに。

「外部パワーアンプ」の使いこなし術を徹底解説! 第1回「利点を知ろう」

《太田祥三》

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