【三菱 エクリプスクロス 試乗】操縦性の良さに感じた「三菱の本気」…齋藤聡

試乗記 国産車
三菱 エクリプスクロス プロトタイプと斎藤聡氏
  • 三菱 エクリプスクロス プロトタイプと斎藤聡氏
  • 三菱 エクリプスクロス プロトタイプ
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  • 三菱 エクリプスクロス プロトタイプ
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三菱『エクリプスクロス』のプロトタイプに試乗した。その操縦性は軽快でシャープ。およそSUVからイメージする重さや鈍さを感じさせないものだった。この操縦性に三菱の本気を感じた。

そういえば、初代『アウトランダー』も曲がるSUVだった。確かあのクルマ、『ランサー エボリューション IX』のプラットフォームを使っていたのではなかったかと記憶している。事前の試乗会のテストコースで、なにしろよく曲がるのに感心したのを覚えている。SUVなので、攻めて走る場面はないが、素性の良さは初代アウトランダーにおける走行性能の良さの基本にあった。

2代目が初代のプラットフォームとどのくらい違っているのかはわからないが、少なくとも操縦性という部分で性能を継承していることは間違いない。その2台目アウトランダーのプラットフォームを使って、作られたのがエクリプスクロスだ。操縦性を高めるためにかなり本気の補強やチューニングが施されている。

操縦性は軽快でシャープと書いたが、正確にはハンドルを切った通りにノーズが動いてくれる。旋回に入ると面白いくらいノーズが素直に向きを変え、リヤサスが追従してくれるのだ。

試しにテストステージのスラロームで、80km/hくらいからハンドルを切り込みつつ、ブレーキを軽くかけて進入すると、荷重の乗ったフロントタイヤはビタッ! と路面をとらえ、半拍置かずリヤがスーッと滑ってクルマの向きを変えてパイロンをかすめていく…というような動きを見せてくれた。まったく腰高感もなければ、足回りに不確かな動きもなく、一体感のある素性のいいスポーツセダンの動きそのままだ。

ランエボのような研ぎ澄まされたシャープさはないけれど、ハンドルの手応えの確かさ、クルマのねじれ(感)の少なさ、サスペンションの減衰力の伸縮のバランスが適切なバランスで整っている。

試乗会場にはアウトランダー(S-AWC付き) が用意されていたが、乗り比べるとエクリプスクロスのオンロード寄りのセッティングがよく判る。アウトランダーには、走行モード切り替えスイッチに「ロック」があり、これをセレクトすると電子制御カップリングをロックして、クロカン4×4並の走破性を発揮する。これに対してエクリプスクロスは、先にも書いたように、アウトランダーほどオフロード性能を重視せず、その分オンロードでの快適性を操縦性に振っている。走行モードもドライ、オート、スノーモードまでで、センターデフの拘束もそれほど強くない。

エンジンもいい。1.5リットルのMPI/直噴エンジンは、アクセルを踏み込んだところからフワッとトルクが膨らんで1.5リットルとは思えないほど軽々とクルマを加速してくれる。絶対的なパワーはそれほど高くないから、迫力のというほどの加速は見せないが、低回転域からトルクがぶ厚く、しかもターボラグがほとんどないので扱いやすい。

組み合わされるCVTは、全開加速を繰り返しているときは普通(?)のCVTとそれほど変わらないが、信号待ちからの加速や、高速道路でのわりと余裕を持った追い越しを想定してアクセルを踏み込むと、アクセルを踏んで、まず回転だけが上がってしまうような、あのうるさくて加速しない時間がほとんど気にならない。エンジン回転のスリップを少なく抑え、回転の上昇と加速をリンクさせているので、案外違和感がない。

オンロードやラフロードでの走破性を求めるなら、アウトランダーがいい。オンロード重視ての気持ちよい走りを重視するならエクリプスクロスがおすすめだ。もちろんエクリプスクロスだってオフロードの走破性や雪道でのトラクション性能、操縦性の良さは備えている。そこもまたエクリプスクロスの魅力的なポイントの一つといっていいだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

斎藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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