【カーオーディオ 次の一手】デッドニングを煮詰める

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オーディオテクニカ・ドアチューニングキット AT7405
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カーオーディオのエントリープランとして人気の「スピーカー交換」。これを実行してサウンドクオリティを向上させた後、続いては何をすべきなのか。そこのところを多角的に検証する特集をお贈りしている。スピーカーの実力をさらに引き出せる“次の一手”とは…。


■「デッドニング」とは、ドア内部の音響的なコンディションを上げるための作業…。

第6回目となる今回は、「デッドニング」をテーマにお伝えしていく。

最初に、「デッドニング」とは何なのかを解説していこう。

「デッドニング」とはズバリ、「ドア内部の音響的なコンディションを整える作業」である。

ところで、ホームオーディオのスピーカーは、スピーカーユニットが箱(エンクロージャー)に装着された状態で完成品となっている。スピーカーメーカー各社はこれを完成させるにあたり、スピーカーユニットだけではなく、箱に対しても時間とコストを相当に注入している。ものによっては、スピーカーユニットよりも箱のほうが高コストな製品もあるだろう。箱は、スピーカーの性能の良し悪しに、多大な影響を与える重要なパーツなのである。

対してカーオーディオでは、スピーカーユニットが単体で販売されている。そして、ドアが箱の役割を担うことになるのだが…。しかしながらクルマのドアは、音響パーツとしては設計されていない。スピーカーボックスとしての機能を果たし難い部分を多々持っている。それを、音響パーツとして力が発揮できるようにチューニングしていく作業が、「デッドニング」、というわけなのだ。

であるので、「スピーカー交換」を行う際には、なんらかの「デッドニング」作業は必ず行いたいところだ。そうしないとスピーカーの性能を十分に引き出せない。とは言いつつも、「スピーカー交換」時には、「デッドニング」はライトなメニューに留められることが多い。コストを抑えられるからだ。

そこで、もしもスピーカー装着時の「デッドニング」作業がライトな内容であったなら、“次の一手”として「デッドニング」は有力な候補に浮上する。これを実践することで、スピーカーの出音のレベルをもう1段階引き上げることが可能となる。1つのスピーカーで、音が良くなる感動を2度味わえることになるのだ。


■鉄板の共振を止めるべく、「制振」作業やを実施!

続いては、「デッドニング」で行われる作業内容について解説していく。それを知っておけば、ショップとの打ち合わせ時の理解度が上がるはずなので、じっくりとお読みいただきたい。

順番に紹介していこう。まずは、「鉄板の制振」作業について。ドアは、外側の鉄板(アウター)と内側の鉄板(インナー)との2重構造になっている場合が多いのだが、その両方に対してこれを施す必要がある。

これら鉄板は、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーで、または、スピーカー自体の振動が伝わることで、簡単にビビリ音を発してしまう。ビリビリと耳に付くレベルで発生することもあれば、小音量でありながらもスピーカーから発せられる音を濁らせてしまう場合もある。

それらを防ぐために、“制振材”と呼ばれるシートを、鉄板のビビリそうな場所に貼っていくのだ。

続いては、「サービスホールを塞ぐ」作業について説明しよう。スピーカーの箱には「裏側から発せられる音を閉じ込める」という役割があるのだが、それを果たさせるために、この作業が必要となる。

裏側から発せられる音を閉じ込めなければならない理由についても解説しておこう。スピーカーは、振動板を前後に動かして空気を震わせ音をリスナーに伝えるのだが、スピーカーの裏側でも同じことが起きている。なお、表側から聴こえる音と裏側から聴こえる音は、耳で聴く限りは同じ音なのだが、音波としては波形が真逆だ。もしもこれが空間で混ざり合うと、打ち消し合い(キャンセリング)というやっかいな現象が引き起こされる。そうならないために、裏側の音を閉じ込めようとするわけだ。

しかしながら、ドア内部のサービスホールが開いたままだと、裏側の音が表側へと回り込もうとしてしまう。内張りパネルがあるので裏側の音がダダ漏れすることはないのだが、パネルと鉄板のすき間から漏れたり、パネルを震わせて音を濁らせたりと、何かと悪さをしがちとなる。それらを防ぐべく、「サービスホールを塞ぐ」という作業が必要となるのだ。


■「デッドニング」は、自分でやっても案外楽しい。DIY用のキットもある。

さらには、「背圧の処理」という作業も行われる。“背圧”とは、スピーカーの裏側から放たれる音エネルギーのことを指す。

ドア内部は厚みがそれほどない。なので、スピーカーの裏側から発せられる音エネルギーは、なかなかに強烈にアウターパネルを叩く。結果、アウターパネルをビビらせたり、さらには跳ね返ってスピーカーの振動板にぶつかって、振動板の動きにストレスを与えることになる。

これに対処するために、スピーカーのすぐ裏側の鉄板に、吸音材や拡散材を貼っていく。これが「背圧処理」の1例だ。または、スピーカーの取り付けスペーサーの役目をする「インナーバッフル」の内径の形状を工夫して、音を抜けやすく(跳ね返りにくく)することもある。

内張りパネルに対して行うメニューもある。パネルには「制振」作業が行われ、内部の空間には吸音材が入れられることもある(空間を潰すことで、音が響かないようにするため)。さらには音漏れがしそうな箇所に防音材が取り付けられることもある。あるいは、パネルが固定されるクリップ部分に、ガタツキ防止のクッション材が取り付けられることもある。

一般的に行われている作業のうちの、主だったところは以上だ。

ちなみに「デッドニング」は、ハンドメイドで行われることも多い。ドアの内張りパネルを外す作業は、慣れないと簡単ではないのだが、これをクリアできれば、あとは比較的にとっつきやすい。

ただ、やみくもに制振材を貼っていけば良いわけではないので、十二分な効果を上げるためにはコツもあり、経験も必要となる。しかし、やってみると音の変化を実感できるので、案外楽しい。ハンドメイド用のデッドニング(ドアチューニング)キットもいくつかリリースされているので、興味があればぜひとも挑戦を。

さて、「デッドニング」についての解説は以上だ。次回もさらなる“次の一手”を紹介していく。乞うご期待。

カーオーディオ、“次の一手”。貴方ならどうする? 第6回「デッドニングを煮詰める!」

《太田祥三》

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