単線区間で列車増発…台風被災の南海電鉄、複線再開は「11月中」目指す

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関西大手の南海電気鉄道は11月10日、台風災害の影響により単線運転を行っている南海本線で、11月11日から列車の本数を増やすと発表した。複線による再開は11月中を目指す。

南海本線は10月の台風21号の影響により、樽井(大阪府泉南市)~尾崎(阪南市)間の男里川橋りょうで下り線の橋りょうが傾くなどの被害が発生。10月31日まで同区間の運転を見合わせ、樽井~箱作間で代行バス輸送を実施した。

11月1日には上り線を使った単線運転で暫定的に再開したが、上り列車と下り列車が同じ線路を走ることから、運行本数は通常より大幅に減少。難波発~和歌山市行きと和歌山市発~難波行きが約30分間隔で運転されている。このほか、平日朝に限り樽井発~泉佐野行きと箱作発~泉佐野行きのバス輸送が新たに設定されたが、樽井発のバスは既に運行を終了している。

11月11日の初発からは、単線区間を含む羽倉崎~和歌山市間の臨時ダイヤが変更される。難波発~和歌山市行きと和歌山市発~難波行きが、おおむね15分間隔で運行される。これに伴い、平日朝のバス輸送は終了する。

南海電鉄は複線による再開に向けた仮復旧工事を進めている。現在は損傷した下り線の橋脚の前後左右に鋼杭を打ち込んで仮の橋脚を立ち上げ、元の位置に戻す工事を行っているという。

一方、高野線高野下~極楽橋間は、上古沢駅(和歌山県九度山町)で発生した道床流出の影響で、現在も上下列車ともに運休中。橋本~高野山間で代行バスが運行されているが、南海電鉄は「バスの台数に限りがあることや運行時の道路状況により、待ち時間を含めて相当なお時間を要する場合がございます」としている。高野山ケーブルを含む橋本~高野山間の所要時間は通常40~50分台だが、代行バスは平日が約1時間30分、土曜・休日の9~12時頃は2時間30分~3時間以上になるという。

南海電鉄と和歌山県が実施した現地調査によると、上古沢駅付近は線路を含む斜面の広い範囲で地すべりが発生している可能性がある。南海電鉄は「現地のボーリング等、地すべり調査を早急に実施することで、地すべりの範囲、規模等を詳細に把握するとともに、地すべり対策を進めてまいります」としているが、再開のめどは立っていない。

台風21号の影響で運休中の区間は以下の通り(11月10日15時時点)。近江鉄道の本線(水口・蒲生野線)日野~水口間は、11月1日に再開した。

●JR西日本
関西本線 亀山~柘植

●南海電気鉄道
高野線 高野下~極楽橋

《草町義和》

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