【システム構築術研究】マルチアンプシステム編

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<製作ショップ:ウイニング>
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カーオーディオを楽しもうとするとき、システムレイアウトの選択肢は多岐にわたる。ライト仕様でカジュアルに楽しむのも良いし、ヘヴィなシステムを構築しても良い。というわけで当連載では、各システムの特徴と、それぞれの楽しみ方のコツを紹介している。


■「マルチアンプシステム」は“豪華仕様”。コストは掛かるがリターンも大きい。

第5回目となる当回では、「マルチアンプシステム」を取り上げる。最初に、これがどのようなシステムであるのかを解説していこう。

ひと言で言うと、「スピーカーユニット1つ1つに対して、パワーアンプの1chずつを割り当てるシステム」ということになる。例えば、フロント2ウェイスピーカーを搭載している場合、パワーアンプには4chモデルを用意して、その1chずつに左トゥイーター、右トゥイーター、左ミッドウーファー、右ミッドウーファーそれぞれをつないでシステムを組むのだ。

こうすることで得られるメリットは、ざっくり言って主に2点ある、1点目は「効率良くスピーカーを鳴らせること」、2点目は「詳細なコントロールが可能となること」。

それぞれについて補足していこう。まず「1」について。「パッシブシステム」と比較して「マルチアンプシステム」がなぜに“高効率”なのかと言うと…。

フロントスピーカーが2ウェイだった場合、「パッシブシステム」では、右chの2つのスピーカーをパワーアンプの1chで鳴らし、左chの2つのスピーカーをパワーアンプの1chで鳴らすこととなる。つまり、「パッシブシステム」では、1chあたりの負担が大きくなってしまうのだ。

対して「マルチアンプシステム」では1chあたりの負担が小さく、かつ、スピーカーをダイレクトに操れるので(パッシブクロスオーバーネットワークの回路を通らないから)、アンプの意志をより速やかにスピーカーに伝えることが可能となる。ゆえに“高効率”で鳴らせるのだ。

反面、コストはかかる。「パッシブシステム」では2chアンプが1台あれば良かったのだが、「マルチアンプシステム」では、それが2台必要になるのだ。

しかしながら、コストが掛かるのはダテではない。コストを掛けただけのリターンは得られる。

つまり「マルチアンプシステム」とは、“豪華仕様”であるわけだ。費用面でもインストール面でもハードルは高くなるが、その分、高音質を狙えるシステム、なのである。


■1つ1つのスピーカーの音を、個別に、詳細に制御可能に。

続いて、2つ目の利点として挙げた「詳細なコントロールが可能となる」その理由を解説していこう。

「マルチアンプシステム」では、音楽信号の帯域分割をパワーアンプの前段で行うことになるのだが、ここがミソだ。多くの場合、それを「デジタル・シグナル・プロセッサー(DSP)」で行うのだが、「DSP」内で最初に帯域分割を行っておけば、信号を個別に制御できるようになる。「パッシブシステム」では、トゥイーターが出す音とミッドウーファーが出す音を、「1つのスピーカーが出している音」として扱うしかないのだが、「マルチアンプシステム」では、それぞれを個別にコントロールできるのだ。

特にメリットが大きいのが、「タイムアライメント」調整だ。「タイムアライメント」とは、近くにあるスピーカーが発する音に遅延を掛けて、あたかもすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる機能であるのだが、片chの音を、ざっくり「1つのスピーカーから出ている音」、としてしか扱えないと、詳細に「タイムアライメント」を運用することができない。

しかしながら、「マルチアンプシステム」では、トゥイーターとミッドウーファーを離れた場所にインストールしたとしても、それぞれを個別にコントロールできるので、「タイムアライメント」を理想的に運営することが可能になる。

なお、最新の「単体DSP」の多くは、「イコライザー」についても“ch独立”となっている。車内環境においては、各スピーカーごとで音の反射と吸収の状況が異なるので、周波数特性の乱れ方も異なってくる。「マルチアンプシステム」では、周波数特性の補正も、きめ細かく実行していけるのだ。


■パワーアンプの使いこなし方に妙味あり!

さて、ここからはいよいよ、「マルチアンプシステム」の楽しみ方のコツの解説に入っていこう。

ところで、「内蔵アンプシステム」でも、「DSP」が搭載されているユニットを使う場合には、それは結局のところ「マルチアンプシステム」でもあった。システムの様式自体は同一で、アンプが“内蔵”か“外部”かが異なっている。

であるので、「外部パワーアンプ」を用いて構築するタイプの「マルチアンプシステム」では、楽しみ方のコツもそこのところがポイントとなる。つまり、「外部パワーアンプ」をどう使いこなすか。ここに妙味が出てくるのだ。

さまざまなアプローチがある。フロントスピーカーが2ウェイの場合においての例をいくつか挙げていこう。

もっともスタンダードな「外部パワーアンプ」の使い方は、4chアンプ1台でフロントスピーカーを“マルチ駆動”するアプローチ。アンプが1台ですむのでインストールスペースも少なくてすむし、比較的にコストも下げやすい。

それに対して、出力の異なる2chパワーアンプを2台用意し、パワーの大きいアンプでミッドウーファーを鳴らし、そうでないほうでトゥイーターを鳴らす、というやり方もある。低域の再生にコストをかけて、音楽の土台をしっかりさせようとするのだ。土台がしっかりすると、中域、高域も豊かに響く。低域の質を上げることで、全体の質を上げることができるのだ。

または、右chと左chで2chパワーアンプを使い分ける、というやり方もある。この方法によって何が目指されるのかというと、それは“chセパレーション”だ。左右のch間での音楽信号の干渉の可能性をできるだけ下げて、よりクリアなサウンドを得ようとするのだ。ただし、この場合は左右で同じパワーアンプを用いなくてはだめだ。左右で条件が異なってしまえば、“ステレオ”の原理が崩れてしまう。左右はすべてにおいて同一コンディションにしておかなくてはいけないのである。

そしてもう1つ、上記の方法を発展させるアプローチもある。それは、4台のモノラルchアンプを導入する、というもの。左右だけに留まらず、タテの関係(トゥイーターとミッドウーファー)においてもchセパレーションを良化させようとするのである。

さて「マルチアンプシステム」についての解説は以上で終了とさせていただく。次回は「3ウェイシステム」について考察していく。お読み逃しなく。

内蔵? パッシブ? マルチ? 『システム構築術研究』その5「マルチアンプシステム」編

《太田祥三》

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