パイオニアとHEREが資本提携を発表…ADASソリューション

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HEREのエザード・オーバービークCEOと、パイオニアの小谷進社長
  • HEREのエザード・オーバービークCEOと、パイオニアの小谷進社長
  • プレゼン資料より。HEREの出資者のロゴが並ぶ中に、パイオニアのロゴが追記されている。
  • プレゼン資料より、両社が持つ強みについて。
  • プレゼン資料より、両社の提携内容の経緯について。
  • プレゼン資料より、テレマティクス保険向けサービスについて。

パイオニアと地図会社のHEREは2017年9月19日、資本提携に合意し、同日都内において記者会見を開いた。

HEREとパイオニア、および地図事業子会社のインクリメントPは、以前より業務提携を結んでいたが、今回は資本提携となる。これについてHEREのエザード・オーバービークCEOは、「資本提携はとても強いシグナル。我々の取り組みに対する真剣さの現れだ」と表現した。またあわせて、テレマティクス保険に関する新たな業務提携も発表された。

■資本提携について

パイオニアとHEREは、株式を相互に保有することにより、業務提携を確実に進めていくことに合意した。HEREは、パイオニアが新規に発行する普通株式を総額17,343,300ユーロで取得する。一方パイオニアは、AUDI AG、BMW Group、Daimler AG による持株会社である There Holding B.V.より、同社が保有する HEREの株式を同額で取得する。両取引のクロージング日は、2017年10月5日が予定されている。

HEREのエザード・オーバービークCEOは、「これまで、HEREの技術に注目した企業が企業が出資をしてきた。インテル、NVIDIAなどの企業だ。そして今回、パイオニア、インクリメントPも資本提携の輪の中に加わったことをうれしく思う。HDマップの情報をデジタルで取り込み、これをグローバルにしっかりと提供していくためには、高い能力が必要。今回の提携がその土台になってくれると考えている。日本は重要なマーケットであり、世界のテクノロジーの拠点でもある。将来に向けて、HDマッピングのパートナーシップをさらに強化していく。」と語った。

パイオニアの小谷社長は、「パイオニアとインクリメントPは、HEREとの提携で最大限のシナジーを生むことを確信している。オーバービークCEOとは、(2015年に始まる)提携以降、何度となく直接会って議論してきた。CEOのリーダーシップには感謝している」と語った。

■業務提携について

HEREとパイオニア、インクリメントPは、これまでにも提携を発表している。デジタル地図データをグローバルに提供するための相互供給に関する提携、さらに、パイオニアが開発を進めている3D LiDARの活用を含めた、高精細地図データおよびシステムの共同開発である。そして今回発表されたのは、テレマティクス保険に関する協業だ。

これは、パイオニアが東京海上に提供している、IoTデバイスによる事故リスク予測サービス『インテリジェントパイロット』を、HEREのクラウドサービスや地図を利用して欧州にも展開するというもの。パイオニアの小谷社長によると、「今期中に欧州でトライアルプログラムを開始、2018年に商用化を検討している」とのことだ。

■質疑応答

質疑応答でのQ&Aは以下の通り。

Q. (地図プロバイダーとしての存在感が増している)Googleをどう考えているか。
オーバービークCEO:マーケットへのアプローチが違う。Googleは、地図データを集めて自分たちのサービスに使う、いわばクローズドなビジネスと考えている。我々はオープンシステムで、広く提供していく。

Q. インクリメントPは、同じく地図ベンダーであるダイナミックマップ基盤企画に出資している関係だが、HEREとの提携との違いは。
インクリメントP 神宮司社長:ダイナミック基盤企画の主旨は、協調領域である地図をオールジャパンで作っていこうというもの。HEREとの提携については、クライアントに対してビジネスをしていくというもので、いわば競争領域だ。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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