ホンダ創業70周年を記念した決定版…『本田宗一郎伝』中部博著

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ホンダ創業70周年を記念した決定版…『本田宗一郎伝』中部博著
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定本『本田宗一郎伝』三訂版
中部博著(三樹書房)
定価:2400円(消費税抜き)
2017年7月10日刊行予定
ISBN978-4-89522-669-1

いまのホンダ、正式名称本田技研工業株式会社の歴史を辿ると、本田宗一郎が1946年に開設した本田技術研究所に辿り着く。本田技研工業はその2年後、1948年に本田技術研究所を継承し、資本金100万円で設立され、1947年にはホンダ初の製品、A型自転車用補助エンジンの生産が開始されたのである。

“定本”を手元の辞書で引くと、1.(古典で)いろいろの本を比較して誤りなどを訂正した、標準となる本。2.著者が手を入れて、決定版として定めた本(三省堂国語辞典 第二版)とある。さしずめこの本は2001年に初版が刊行されて以来、版を重ねながら新たな事実が付け加えられ、熟成を続けて来た、まさに決定版といえるものである。

本田宗一郎が描かれた本の多くは、特にグランプリシーンにフィーチャーされたものが目につきやすい。本書はもちろんその部分もしっかりと書かれているものの、それ以上に宗一郎の幼少期、丁稚時代、そして、ホンダを創業した頃に多くのページが割かれ、更に、社長引退後にも着目。それらを通して宗一郎の人となり、そして生き様が語られている。

今回の加筆では、主に戦前について日本自動車競走倶楽部の活動、特に多摩川スピードウェイでのことなどが、昨年行われた“多摩川スピードウェイ80周年”のイベントなどで、これまであまり世に出ていなかったことが、より広く明らかになったこともあり、新たな資料をもとに加筆された。その他、通常よりも大幅な加筆がなされていることから、ここからも決定版といえる。

本書とともに、日本の自動車レース史(杉浦孝彦著、三樹書房)も合わせて一読すれば、当時の時代背景や、多摩川スピードウェイの様子とともに、まだアート商会の丁稚であった宗一郎を取り巻く環境も伝わってくるだろう。
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《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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