トヨタ、リハビリ支援ロボット開発…クルマ造りノウハウ活用で1.6倍の上達効果も

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トヨタ自動車 ウェルウォーク WW-1000 説明会
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トヨタ自動車は、脳卒中などで脚が麻痺した人のリハビリテーションを支援するロボットを開発し、9月から医療機関向けにレンタルを始めると発表した。クルマ造りのノウハウを生かしたことで、従来の歩行訓練よりも1.6倍の速さで歩けるようになるという。

『ウェルウォークWW-1000』と名付けられたリハビリ支援ロボットは、麻痺した脚に装着して膝の曲げ伸ばしを補助するロボット脚と、ロボット脚を装着した患者をベルトシステムで吊り下げて歩行訓練を行う本体部で構成され、2016年11月には医療機器としての承認も得ている。

トヨタ自動車パートナーロボット部の玉置章文部長は、ウェルウォークを「従来のリハビリでの長い装具と短い装具の良い所取りをした」ものと表現する。

従来の歩行訓練では上達具合に応じて長短2種類の装具を使い分けている。リハビリ初期は脚が完全に麻痺して体重を保持できないため膝を完全に固定する長い装具をつけて歩行訓練を始める。しかし「体重はしっかり保持されていても、膝が固定されているために、つま先が引っ掛かって脚が前に出ず、なかなか歩くことができない」と玉置部長は指摘する。

一方、訓練が進むと膝が曲げ伸ばしできる短い装具を使うようになるが、これも「ちょっと油断するとまだ体重を完全には保持できないので膝が折れて転倒する恐れ」があり、「従来の歩行練習には様々な課題があった」というわけだ。

ウェルウォークはロボット脚を装着した患者がベルトシステム上で歩行練習を行うが、「ロボット脚には荷重センサーが備えられており、そこからの情報によって膝部分に設けたモーターを制御する。それにより的確な歩行をアシストする。すなわち体重をかけたい、立脚時にはモーターがしっかりトルクを出して膝が曲がらないようにする。膝を適度に上げて脚を振り出したい時には荷重センサーからの信号を適宜制御してベストなタイミングで振り出しをサポートする」仕組みになっている。

さらに玉置部長は「うまく補助して、補助しすぎないこともウェルウォークの特徴」と語る。というのも「リハビリを進めていく中で回復していくと、だんだんとロボットのサポートを弱くしていくことも大事」になり、「そうしたシームレスな設定ができることで、リハビリテーションの初期から自然に近い形で多数歩あるけるようになる」わけだ。

ウェルウォークは2007年から基礎的な研究が開始され、その実用化にあたってはクルマ製造現場での様々なノウハウが織り込まれている。

トヨタの磯部利行常務役員は「ウェルウォークの中に組み込まれているモーターは10段階でトルクを変えている。微小なセンシングでのトルク管理や、センサーによって瞬時に動かす部分は、我々のクルマ造りに使っているロボットの技術を役立てている。また患者さんに重たいものを持たせてはいけないので、クルマを軽量化していく技術も織り込んでいる」と解説する。

また玉置部長は「ソフトウェアを安全に設計する部分でもクルマでの知見を活用している」とも付け加えた。

ウェルウォークは藤田保健衛生大学と共同開発され、医療現場での声も反映されている。「患者がウェルウォークにアクセスしやすいようにトレッドミルは低床なものを採用する一方で、また治療者の使い勝手もたくさん工夫している。タッチパネルによる一括操作やロボットパラメーターの使い方ガイドもロボットの中に織り込んでいる。これらは臨床研究の中で先生方から要望されたもの」と玉置部長は話す。

ウェルウォークはクルマ造りのノウハウの活用やと医療現場での声を吸い上げて製品化されたわけだが、藤田保健衛生大学の才藤栄一教授は「屋内で歩けるレベルに達する期間が1.6倍速くなるというのが今、我々が持っている数字」と語る。

才藤教授は「脳卒中の患者が歩けるようになるまで平均で3か月かかる。この3か月というのが回復期のリハビリの標準的な入院期間。それを超えると歩けなくても退院させられてしまう」とした上で、「これが早くなるのは、結果的に歩けるようになって帰る人の数が増えるはず」と、ウェルウォークの効果を強調していた。
《小松哲也》

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