バンコク国際モーターショーが一般公開されて最初の週末を迎え、会場は多くの来場者であふれているようだ。タイは基本的に農業国であるものの、今やASEAN各国に生産車を輸出する“アジアのデトロイト”と言われる。それだけにショーに懸ける意気込みは大きい。
会場として使われる「インパクトアリーナ」に足を踏み入れるとその豪華な造りに圧倒される。フロアはピッカピカの大理石。プレス登録が行われる会場では多彩な食事メニューを用意するなど、まるでホテルで立食パーティが開かれているのか、そう勘違いしてしまいそうになる。
ただ、今年は昨年10月にプミポン国王の逝去の影響を受け、全体として演出は控えめとなったようだ。例年なら出展社受付には「ミス○○」のたすきを掛けた女性が勢揃いし、様々なイベントで盛り上げることに一役買っていたが、今年はタイ国内の大学からアルバイトで募集した学生がプレゼンターとして務めるにとどまった。
オープニングセレモニーもやや控えめな演出で、各自動車メーカーの代表者が一人ずつ紹介され、記念品が渡される程度だった。とはいえ、天井からは大型のシャンデリアがいくつもぶら下がり、天井や壁も豪華な装飾を施す。見るからに豪華な雰囲気は今年も健在だった。おそらくここまでの豪華さを感じさせるショーは他にはないはずだ。
また、このモーターショーは他と大きく異なる点がある。それはショーそのものが巨大な展示即売会になっていることだ。そのため、各ブースの奥には必ず商談コーナーが設けられ、ローンの低金利策など有利な販売条件を付けて店頭よりも有利に購入できるようになっている。他人よりも先に最新の車がお得に買える!これが集客の大きな要素になっているようだ。
ここ数年、タイの自動車販売台数は低迷を続けており、自動車メーカーにとってもこのショーに懸ける意気込みは大きく、7~8%アップを期待する声もあるという。ただ、主催者によれば、国王逝去による影響は大きく、昨年の3万7000台の実績と同じか若干上回る程度と予想しているようだ。