ハンガリーに拠点を置くカーナビゲーションのソフトウェア・プロバイダーNNGは、5月18日、ジャイルズ・シュリンプトン氏のCEO就任記者会見を東京都内で開催した。シュリンプトン氏は今年3月1日にCEOに就任しており、日本市場におけるビジネス展開への意欲を語った。
会見でシュリンプトン氏は、「日本に来ることはとても光栄。前回4年前に来た際は観光もできなかったが、再び日本に来ることができて嬉しい」と挨拶。続いて自身の略歴紹介を行った。それによると、シュリンプトン氏は元々ソフトウェア開発に携わった経験を持つ“コンピュータ・サイエンティスト”であり、それが自身の基礎となっているという。
「(自動車業界との関係は)16年間フィリップスに在籍した際、英国に工場があったトヨタ、日産、ホンダと取り引きを経験。その後、6年間シーメンスで働き、そこで海外市場向けナビゲーションの開発に初めて携わった」のだという。今回のCEO就任につながったのは次のTomTomでの実績が買われたようで、「まったく自動車関連ビジネスを持っていなかったTomTomを2億4000万ユーロのビジネスにまで成長させる実績を残した」と自らの経験を語った。
シュリンプトン氏はNNGが持つ重要なミッションとして「ナビゲーションを全世界のすべての自動車に普及させることにある」とする。「その中で自分の役割はNNGを次のレベルにまで持って行くことと意識している。NNGはソフトウェアの会社として成功を収めているが、よりマーケットシェアを高め、お客を増やしていく必要がある。日本はそのための重要なマーケットだ」と、日本市場の重要性を強調した。
一方でシュリンプトン氏が他社にないNNGの基本コンセプトとして挙げたのが、「表に社名を出さないホワイトレーベルとしての基本方針であり、顧客の要件に柔軟性を持ってカスタマイズできること」だという。その背景には「コンテンツプロバイダー、OS、ハードウェアから完全に独立し依存していないことがある。1つのテクノロジーで世界をカバーし、グローバルな要件まで満たせる技術が、200エリアを超えるエリアと、50を超す言語に対応することにもつながった」と述べた。
NNG日本オフィス代表取締役の池田平輔氏はこれについて、「カーナビは各自動車メーカーの顔でもあり、フレキシブルに対応することで顧客のブランドを守れる。それができることに我々の強みがあり、それが我々の仕事でもある」とした。その技術の一端は「新たに市場導入されたジャガー『XJ』『XF』で見ることができるので、ぜひ機会があれば試乗していただきたい」(シュリンプトン氏)とのコメントも加えた。