【フェラーリ カリフォルニアT 海外試乗】ハンドリング・スペチアーレ、官能的なサウンドとしなやかな乗り心地…山崎元裕

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フェラーリ カリフォルニアT ハンドリング・スペチアーレ
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フェラーリの『カリフォルニアT』に、ハンドリング・スペチアーレが新設定された。マイナーチェンジ前、すなわち自然吸気時代の『カリフォルニア』にも、その最終進化型としてハンドリング・スペチアーレは設定され、フェラーリによれば、約20%のカスタマーがそれを選択したという。この前作での成功こそが、今回のハンドリング・スペチアーレ復活の、直接的な理由となっていることは確かだ。

ハンドリング・スペチアーレは、ヨーロッパにおいては、約7000ユーロ(約87万円)のプライスが掲げられるパッケージ・オプションだ。フロントに搭載される3855ccのV型8気筒ツインターボエンジンには変化はないが、エグゾーストシステムは、新型のサイレンサーを採用したものに。またデュアルクラッチ式の7速ミッションには、シフト時間をさらにアップシフトで30%、ダウンシフトでは40%も短縮するなどのチューニングが施されている。

シャシーのチューニングもハンドリング・スペチアーレに独自のものとなる。磁性流体式ダンパーのSCMは、コンフォートとスポーツの両モードで、より明確なセッティングの違いを感じられるようになり、同時にスプリングはフロントで16%、リアでは19%もハードな設定に。それによってコーナリング時のロール角は7%、ロール速度は8.5%を低減することができたという。

10%ほど高速化されたステアリング、そしてこれもハンドリング・スペチアーレのためにセッティングが見直されたトラクションコントロールシステムのF1=TCSと、スタンダードなカリフォルニアTからの変化は実に幅広い。さらにマット・アイアンシルバーにペイントされたフロントグリルや、ブラックテールパイプ、キャビンにフィットされる専用バッジなどを考えれば、約7000ユーロというオプション・プライスは、非常にリーズナブルなものに思えてくる。

ツインターボ化されたことで、560psの最高出力と755Nmの最大トルクを得るに至ったV8エンジンは、今回新たなエグゾーストシステムを組み合わせたことで、より官能的なサウンドが演出されることになった。アクセルペダルを踏み込んでからのレスポンスは、ほとんどターボラグを感じさせないもの。アップ、ダウンの両方向ともにシフト時間を短縮したという7速DCTの動きは、確かにスムーズの一語に尽きる。いや、そのシフトは、まさに電光石火と表現すべきものだろうか。

ワインディングでの身のこなしは、さすがにハンドリング・スペチアーレのネーミングを掲げるだけのことはある。ステアリングがさらに高速化されたと聞けば、ともかく操舵時にノーズの向きを俊敏に変えてしまおうという意図を想像することもできるが、実際のステアリング・フィールには敏感すぎる印象はなく、かつそれはどのような速度域でも常に正確な動きに終始するから、それがより積極的にワインディングを楽しもうという意思を、ドライバーに生み出してくれるのだ。

俊敏に、そして正確にノーズの向きが変わり、ここからロールが発生していく一連の動きもナチュラルだ。ドライブ前には気になっていた乗り心地も、気がつけばほとんどそれをハンデと感じる場面はなかった。スペースフレームはもちろんのこと、サスペンション自体の剛性の高さが、このしなやかな乗り心地を演出している。

カリフォルニアTは、リトラクタブルハードトップによって、オープンとクローズの両スタイルを使い分けられるほか、機能性や実用性の高さも、カスタマーから高く評価されているモデルだ。ハンドリング・スペチアーレは、ここからさらに刺激的なドライビング・エモーションを提供するための、魅惑のパッケージ。日本上陸は、早ければ今年の秋頃には実現する見込みだという。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

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