【SUPER GT】3連覇へ挑戦、ミシュラン小田島氏「競争あってこそ技術磨ける」

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2015年のGT500王座を獲得したニスモチームのGT-R(#1 松田次生&クインタレッリ組)。
  • 2015年のGT500王座を獲得したニスモチームのGT-R(#1 松田次生&クインタレッリ組)。
  • 左端がミシュランのSUPER GT参戦を陣頭指揮する小田島氏。
  • 「競争あってこそ、技術が磨ける」と小田島氏は語る。
  • 昨年のGT500チャンピオン、ニスモの(左から)松田次生、鈴木豊監督、クインタレッリ。
  • 日本ミシュランのペリニオ社長。
  • この日発表のミシュラン新商品には、かなり具体的にモータースポーツ(フォーミュラE)からのフィードバックが盛り込まれている。
  • ミシュランの小田島氏はGT500クラス3連覇を狙う。
  • 昨年はMOLA(#46)も1勝しており、ミシュラン&GT-Rはニスモを含めて計3勝。

24日、日本ミシュランの新商品発表会には、同社のモータースポーツマネージャーでSUPER GT参戦の陣頭指揮官を長く務める小田島広明氏も登場。ここ5年で連覇2回の計4冠獲得、今季は3連覇を目指すことになるGT500クラスの戦いについて訊いた。

モータースポーツの世界では、以前からミシュランは「誇り高き、戦うタイヤメーカー」とも称されている。競合メーカーがある戦いの場を求めるのが基本姿勢で、近年は世界的にタイヤワンメイクのシリーズが増えるなか、SUPER GTの位置付けはミシュランにとって重要だ。

この日の発表会でも日本ミシュランのポール・ペリニオ社長がSUPER GTについて触れた際には、「現在のところ世界で唯一(ライバルである)ブリヂストンさんと競うことができるシリーズです」との参戦意義を語っている。小田島氏も「競争あってこそ、技術が磨ける」というミシュランの基本姿勢を強調する。

もちろんワンメイクシリーズのタイヤもミシュランは手掛けているが、その際にも「たとえばフォーミュラEであれば、全天候型にしましょう、サイズは18インチで、というような提案(挑戦)をミシュランからしています。そうでないと、ただのサプライヤーになってしまいますから」(小田島氏)というくらいに、挑戦姿勢を前面に出すのがミシュランの流儀である。

さて、現在世界で最も苛烈なタイヤ競争が展開されているSUPER GT、その最高峰GT500クラスでは少し前まで(ドライバーズタイトル獲得ベースで見た場合に)ブリヂストンの覇権が長く続いていた。そこにミシュランが再参戦を開始したのは09年。「勉強の年でしたが、本当に厳しかったです」と小田島氏は当時を述懐する。

翌10年も「勉強の続きでした」。しかし、そういった努力が「11年へとつながって、あの年に『今年は(タイトルを)獲ろう』という準備ができたんですね」。そして11~12年と見事に連覇達成、14~15年にも再度の連覇を果たし、直近5年で4冠という王朝期を築いてきた。

ミシュランの4度のタイトルはすべて日産GT-Rとともに獲得したもの。そして4冠すべてにドライバーとして名を連ねているのがロニー・クインタレッリ(イタリア出身)。小田島氏によれば「我々のタイヤも、彼も進歩している」ことによって王冠積み重なる歴史が生まれたようだ。

「厳しかった09年もロニー(当時ハセミモータースポーツ所属)とは一緒にGT500を戦っていましたが、当時は彼も(トップドライバーのひとりではあっても)まだ、そんなに有名な存在ではなかったですよね」。クインタレッリは、翌10年は日産陣内で別のタイヤ銘柄使用チームに移って走る。しかし11年には、GT500初参戦でミシュラン装着チームとなったMOLAに移籍、柳田真孝とともに王座を極めた。「クルマとタイヤのことが我々も、ドライバーも分かってきたということです」。それが前述の『今年は獲ろう』という手応えにつながり、実際に成就したのである。

クインタレッリは12年の連覇達成後、13年からミシュランを再採用するかたちになったニスモに、柳田と一緒に移籍。13年こそ王座を逃すが、今度は松田次生とともに14~15年を連覇して現在に至る。小田島氏は「車両規定が大きく変わった初年度、14年にタイトルを獲得できたのは(クインタレッリと日産を含む)我々のパッケージとして評価できることだと思います。早く対応ができたわけですから」。今度は他ともイコール条件のなか、勉強の年なしで王座を獲得したことは誇れる成果のようだ。

そして今季は3連覇に挑む。日産の16年SUPER GT参戦体制は現時点で未発表(28日に体制発表会実施)だが、おそらく日産GT-Rとクインタレッリ、ミシュランのパッケージが動くことはないだろう。以前はレクサスやホンダにもミシュラン装着チームがあったが、昨年は日産オンリーの構図となっており、その流れも続くものと考えられる。少数精鋭のミシュランと、レクサス&ホンダさらには日産も含めて“多数精鋭”のブリヂストン、その戦いは今季も激戦必至だ。

「今日も、もてぎでテストやっています」と語る小田島氏、もちろん簡単な話ではないが、3連覇への手応えは充分に感じている様子。観る側としても、4月9~10日の開幕戦岡山が待ち遠しいかぎりだ。

《遠藤俊幸》

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