ブランド誕生から60年、斬新なコンセプトと独創的なデザインで存在感を示してきたDS。2014年6月にはシトロエンから独立し、新たな道を歩みだした。
そのDSが掲げる「フレンチ・ラグジュアリー」というキーワードは、どのように体現されているのだろうか。デザインチーフを務めるティエリー・メトロス氏に話を聞いた。
----:DSのブランド性を示す際に「フレンチ・ラグジュアリー」という言葉が使われますが、それはどのように表現されているのでしょうか?
DSは、プレミアムブランドというより、フレンチ・ラグジュアリーブランドと表現したほうがいいかもしれません。ドイツやイタリアのラグジュアリーブランドとは明らかに異なった、フランス独自の美学を持つブランドということです。
特色は、他のフランスのラグジュアリーブランドのイメージと密接にリンクしているということですね。よく知られているものではルイ・ヴィトンやシャネルなどがありますが、こうしたブランドが見せる世界観をクルマで表現するものがDSだといえるでしょう。
それから、1955年に登場したオリジナルのDSを考えてみてください。とにかくお洒落で革新的なスタイルを持ち、そのうえいくつもの優れた技術的特徴を備えていました。そうしたDNAを引き継ぐ精神が、このブランドにはあるのです。
たとえば新しい『DS 5』や『DS 4』のヘッドランプ。LEDモジュールという最新の技術を使っていますが、ただ新しいだけではありません。合計84個のLEDを使うことで、そのフラグメント(断片)は高レベルなラグジュアリー感を漂わせています。
またインテリアでも、アイコニックな表現を心がけています。たとえばシート表皮にも特別なデザインを採用しています。実は腕時計の金属バンドのデザインを適用しているんですが、これは他のプレミアムブランドにはない、独特なものだと思っています。
DSは昔もいまも、革新的であることを重視しています。今回ワールドプレミアした『DS 4クロスバック・コンセプト』でも、ユニークな素材を採用しています。ドアミラーカバーやホイールのスポークには、天然の花崗岩をあしらっているんですよ。
またダッシュボードの70%以上をウッドで覆ったというのも、他には見られない表現ではないでしょうか。DSはアヴァンギャルド(前衛的)であることが個性であり、ここに価値があるのです。