【東京モーターショー15】SPring-8、J-PARC、京を駆使するタイヤ設計技術…住友ゴム工業

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池田社長と発表されたコンセプトタイヤ。アドバンスド4Dナノテクノロジーによって耐摩耗性は200%アップしている
  • 池田社長と発表されたコンセプトタイヤ。アドバンスド4Dナノテクノロジーによって耐摩耗性は200%アップしている
  • Spring-8、J-PARC、京といった日本を代表する最新技術を駆使してタイヤを設計する
  • タイヤの三大性能。相反する3つを高い次元でバランスさせるのはむずかしい
  • 走行時のストレスで「ボイド」という空間が生じる。ボイドは摩耗の原因となり、これを抑えることでライフを伸ばすことができる
  • 柔軟剤はグリップ力を生み出す
  • バイオマスオイルによってグリップ性能の劣化を防ぐ
  • シーラントテクノロジーでは、釘などが刺さっても内側のシール素材が穴を塞いでくれる
  • 住友ゴムプレスブリーフィング(東京モーターショー15)

29日、住友ゴム工業 代表取締役社長 池田育嗣氏が東京モーターショー会場にてプレスブリーフィングを行い、同社の新しい設計技術に関する発表を行った。

池田社長はまず、新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」について、「大型放射光施設 Spring-8、大強度陽子加速器施設J-PARC、そしてスーパーコンピュータである京という日本を代表する最先端技術を利用し、タイヤ全体での分子構造やその変化を観測、シミュレートすることで、これまで分析しきれなかった内部のストレス、発熱をコントロールするもの」と説明。

従来から、設計に分子レベルの結合や動きをシミュレーションすることは行われていたが、アドバンスド4Dナノデザインでは、大規模な測定施設とスパコンにより、タイヤ全体での解析・最適化の設計を可能にした。このことは、タイヤにかかるさまざまなストレスを全体構造として分析できることを意味し、その結果、本質的に相反するタイヤのグリップ性能、低燃費、耐摩耗性をこれまで以上のレベルで高められるという。

「この新しいストレスコントロールテクノロジーを使って、耐摩耗性に着目したとき、その原因となるボイドという空間の発生を抑えるタイヤを開発することができた」(池田社長)と成果を強調するとともに、燃費性能とグリップ性能を維持したまま耐摩耗性200%を達成させたコンセプトタイヤを披露した。

さらに、タイヤの軟化剤に新しいバイオマス原料のオイルを使うことで、グリップ性能をロングライフ化する技術、エアレスタイヤジャイロブレード、釘が刺さっても穴を修復するシーラントタイヤテクノロジー、軽量化ランフラットタイヤなども紹介された。

軟化剤に使われるオイルは、基本的にゴム分子とは結合しにくく経年変化で消失してしまうが、植物由来の新しいオイルはゴムになじむためグリップ性能が落ちないという。エアレスタイヤは電気自動車(EV)など次世代車両への展開が期待されている。

《中尾真二》

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