【新聞ウォッチ】日産とルノー資本関係見直しへ 仏政府の過度の介入けん制

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ルノー日産
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  • 日産自動車 カルロス・ゴーン社長兼CEO(資料画像)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2015年10月8日付

●改造内閣発足「1億活躍」年内に対策(読売・1面)

●VWリコール1月開始、独紙報道、CEO「16年末まで修理」(読売 ・2面)

●資本関係再構築、ルノーと日産検討、仏紙報道(読売・8面)

●もの作り楽しんで、よみうりランド、新施設発表(読売・8面)

●ISのトヨタ車使用を調査、テロ制裁担当米財務省 (毎日・9面)

●ソニー・平井一夫社長、構造改革「まだ道半ば」(産経・12面)

●ガソリン8カ月ぶり安値(産経・13面)

●リモコン操作で駐車場出し入れBMWが新型モデル(東京・7面)

●自動運転SUV富士重が披露へ、東京モーターショー(日経・15面)

ひとくちコメント

「VW城下町深い嘆き」(読売)や「VW問題収拾長期化か」(朝日)など、独フォルクスワーゲンの不正ソフトによる排ガス規制逃れ問題が相変わらず紙面を賑わせているが、きょうの各紙は隣国のフランス自動車大手ルノー関連のニュースが大きく取り上げられている。

地元の仏紙フィガロやプルーンバーグ通信などが報じたもので、日経が10月7日の夕刊で伝えたのに次いで、きょうの毎日や産経なども追随している。

それによると、日産自動車とルノーが資本関係の見直しに向けた協議に入ったというのである。ルノーは現在、日産株の43.4%、日産はルノー株の15%をそれぞれ保有している。

日産が保有する15%のルノー株に「議決権を付与する」ことなどを検討しているもので、狙いはルノーの筆頭株主であるフランス政府が経営に過度に介入するのをけん制するのを阻止するためだそうだ。

フランス政府は2年以上株式を保有する株主に対し、議決権の倍増を認める法律を成立させた。この結果、政府のルノー株の議決権は約28%に拡大するとみられる。フランス政府がルノーへの関与を強めると、両社の提携や日産の経営に必要以上に影響を与える恐れがあり、日産ルノー連合によるグローバル戦略の見直しを迫られる可能性もある。

国内の雇用を重視する傾向が強いフランス政府の影響力が強まれば、ルノーに国内事業の維持と雇用の確保を迫り、日産にも間接的に協力を求めてくる可能性がある。

フランスでは、40%以上の出資を受ける企業が保有する出資元企業の株式は議決権が認められていない。従って、日産が保有(43.4%)するルノー株に議決権はなく、ルノーが持つ日産株の比率を40%未満に引き下げ、日産に議決権を持たせることなどを検討し、仏政府の影響力を弱めたい考えだ。

だが、フランス政府がすんなりと受け入れるかどうかは不透明。「資本関係の再構築は今後の両社の提携の行方も左右しそうだ」(産経)との見方もあり、両社のCEOを務めるカルロス・ゴーン氏にとっても“賞味期限”が迫る去就問題を含めて予断を許さない。

《福田俊之》

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