【フォード クーガ 試乗】新エンジン搭載、1.5Lでも不満ない走りと快適性…中村孝仁

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フォード『クーガ』のラインナップが一新された。グレードは従来通り上級の「タイタニアム」とベースグレードの「トレンド」の2モデル。

従来はいずれも1.6リットルエコブーストエンジンが搭載されていたのだが、ニューモデルではタイタニアムに2リットルのエコブーストが、そしてトレンドには1.5リットルのエコブーストが搭載された。上級の2リットルは既に『エクスプローラー』にも搭載されているものだが、1.5リットルの方は4月に発表されたばかりの新エンジンでエキマニ一体型のブロックを持つなど、『フィエスタ』に搭載されている1リットル3気筒ターボの技術が導入された新世代エコブーストとなっている。

エクスプローラー用の2リットルユニットは既に定評のあるエンジンで、エクスプローラーに対して1.6リットル時代のクーガで比較しても、ほぼ300kgも軽い車重だから、走りが期待できることは十分にわかって頂けると思う。というわけで一言でいえばタイタニウムは性能を追求したクーガ。そしてトレンドは省燃費を追求したクーガとなったわけである。

両車は外観でも少しだけ違う。 識別点としては前後のライト類とホイールで、タイヤは試乗車に関していえば、タイタニウムにはコンチネンタルスポーツコンタクト5が、そしてトレンドの方はハンコック製が装着されていた。スポーツコンタクト5に関しては既に評価を得ているタイヤだけに、疑う余地もなく高い性能を持つことは予想されていたのだが、むしろ驚かされたのはハンコックの方で、乗り心地、運動性能共に申し分なく、コンチネンタルと比較しても遜色ない性能を持っていたのは嬉しい驚きであった。

どちらのモデルも、アクセルをいっぱいに踏み込んでいった際の室内騒音の高まり感は非常に低く抑えらえれ、静粛性は高い。それに1.5リットルであっても動力性能の不満は全くなかった。特に1.5リットルの方は大人3人乗車での試乗を試してみたが、何ら不満なく走り、しかも乗り心地がすこぶる良い。ボディ剛性感も非常に高く、潜在的ポテンシャルの高さをうかがわせる。

2車の価格差は60万円。さすがに装備類の差は大きく、安全面ではシティブレーキの有無やブラインドスポットインフォメーションシステムの有無、キーレスエントリーやハンズフリー・パワーリフトゲートの有無など明らかに値段なりの差があるのだが、走りの性能だけを取り上げると、確かにパフォーマンスの差はあるものの、1.5リットルモデルの健闘が光り、快適性まで含めると1.5リットルが勝っているようにも感じられた。

一方で元々省燃費性能を重視して設定されたエンジンだから、1.5リットルにはアイドリングストップ機能も付いているのだが、2日間走ってアイドリングストップが機能したのは停車時の半分にも満たない。試乗日が猛暑に見舞われてエアコンが常に働きっぱなしだったことを勘案しても少ないし、それは燃費に如実に反映されてはじき出された燃費は11km/リットルとお世辞にも良い値ではない。必ずしも省燃費運転をしたわけではないから致し方ないが、メーカーが公表している12.7km/リットルには届かなかった。そもそも、この値でも最近特に燃費が向上している国産モデルやディーゼルと比べてしまうと、いささか物足りなさが残る。

トランスミッションはどちらもフォードのセレクトシフト付き6速AT。シフトレバーに付くサムスイッチによって変速を可能にしたものだが、やはり使いづらく、これで変速をすることはほとんどなかった。

というわけで旧型となる1.6リットルと比較して2リットル搭載車でも燃費は5%ほど改善され、1.5リットルだと34%も改善されているうえ、性能的には2リットルの場合トルクで105Nm、パワーで60psもアップ。一方の1.5リットルはほぼ同等でダウンサイズしたエンジンによる省燃費効果が期待できるものに変わって、姿は同じながら中身が大きく変わったのが新しいクーガである。

自動車の本質的な性能である走る、曲がる、止まるの性能は実に良い。一方で未だにインダッシュのナビを受け付けないなど商品力には問題も残るので、こちらは次期モデルでの改善に期待したい。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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